水なし印刷と普通のオフセット印刷とでは、具体的にどう違うのですか?
環境にやさしいところ、高品質なところが普通のオフセット印刷と異なります。
従来のオフセット印刷は、印刷中、印刷用の「版」の表面に多くの水(湿し水) を使用します。この水を用いることにより、水(湿し水)と油(インキ)が反発する原理を利用して、非画線部には水が付き、画線部にはインキが付きます。
それに対して、水なし印刷は、「湿し水」の代わりに「シリコーンゴム」を用いて、水の代わりにインキを弾いてくれます。湿し水には有害な物質が多く含まれているため、その湿し水を使わない水なし印刷は、環境にやさしい印刷方式となります。また品質面でも多くのメリットがあります。
版の断面図
図のように、版の断面図を見ると、水あり版(右図)が平凸版であるのに対して、水なし版(左図)は同じ平版でも平凹版となります。版構造の違いから、水あり版は凸の上にインキがのりますが、水なし版は凹んだところにインキが入り、ブランケット転移されます。
また、インキを反発する仕組みは、水あり版は非画線部に湿し水を保有してインキを反発しますが、水なし版は文字通り、湿し水を使用しない印刷方式のため、水あり版の湿し水部には、塗工されたシリコーンゴム層が湿し水の代わりをして非画線部のインキを反発してくれます。
また、品質面においては、従来のオフセット印刷では、湿し水によってインキが「にじむ」場合がありますが、水なし印刷では、水によるにじみが起きないため、忠実な印刷の再現性が可能となります。
水なし印刷の何が環境にやさしいのですか?
有害な廃液を一切出さないところです。
Q1で説明した湿し水には、エッチ液やIPAなどの各種有害物質が多く含まれています。これらの薬品は水質汚濁防止法で定められるBOD、CODの基準値を超えており、産業廃棄物として処理する必要があります。
水なし印刷は、湿し水を使用しないため、有害な廃液を一切出さない印刷方式となります。
また、VOC(揮発性有機化合物)など印刷物制作工程における二酸化炭素 (CO2)排出量の削減にも効果があります。
有機化合物排出量の比較
図:東レHPより引用
他の環境マークと組み合わせてバタフライマーク使うことは可能ですか?
可能です。
FSC認証マークやカーボンフットプリントなど、他のマークと組み合わせてのご使用は可能です。
バタフライマークと他の環境マークを組み合わせた掲載例
水なし印刷は、通常の印刷と比較してコスト高になりますか?
特別にコスト高になることはありません。
水なし印刷は、従来のオフセット印刷機を水なし用にセッティングし、専用の「版」と専用の「インキ」を使用しますが、通常の印刷と比較して特別に高くなることはございません。価格設定に関しましては、各印刷会社によって異なります。北海道から沖縄まで、日本全国に水なし印刷対応の会員企業がございので、詳しくは、最寄りの印刷会社までお問い合わせください。
カーボン・オフセットの申請手続きは大変でしょうか?
お客様のお手を煩わせることはありません。
面倒なCO₂排出量の計算や申請手続きは、日本WPAに加盟のカーボン・オフセット取り扱いの印刷会社がご対応いたしますので、お客さまがCO₂排出量の計算や申請続きを行うことはございません。
詳しくは、最寄りのカーボン・オフセット対応の印刷会社までお気軽にお問い合わせください。
水なしで印刷された印刷物には、どの印刷物でもバタフライロゴの掲載が可能ですか?
当協会に加盟している印刷会社の印刷物に限り、掲載が可能です。
当協会(一般社団法人日本WPA)に加盟している印刷会社で印刷された印刷物には、当協会が認定するバタフライロゴの掲載が可能となります。当協会に加盟していない印刷会社で印刷された印刷物には、バタフライロゴの掲載ができませんのでご注意ください。