1978年、アメリカで産業廃棄物を下水道に排水する取り締まり強化のための条例「事前処理基準」が制定されました。そして、1992年、バージニア州環境改善局は、プロモーションビデオを作成し、水なし版の使用を奨励。行政が印刷業者に対し、規制厳守につながる版材の使用を啓蒙するという画期的なできごとが起りました。
バージニア州環境改善局の水なし印刷奨励キャンペーンは、たちまちにして全米の印刷業者を刺激しました。
1993年9月、印刷業者40社、機材メーカー27社がシカゴに結集し、水なし印刷の採用を啓蒙する団体 WPA ( Waterless Printing Association ) が結成されました。団体はただちに水なし印刷実施のトレードマークをつくり、使用基準を明確にしました。水なし版を使い環境保全に積極的に取組み、しかも品質の高い印刷物を製造する印刷会社にしか使用許可を認めないという、実に厳しい使用基準でした。このトレードマークは、その後、水なし印刷を認証するウォーターレスマーク(バタフライマーク)へと変更されました。
1997年、印刷技術のメッカにして環境保全大国ドイツでも水なし印刷を実施してきた印刷業者が立ち上がりました。デュセルドルフで結成されたEWPA(Europa Waterless Printing Association)は、結成後3年間で、数多くの印刷会社が会員となっています。
WPAが水なし印刷を認証するウォーターレスマークは、R100やSOYINKなど、環境ラベルと同じように行政や企業、そして印刷業者からマーク取得の気運が高まってきました。2001年の「環境報告書」で初めてウォーターレスマークを掲載したトヨタをはじめ日産、 国土交通省、オムロン、セイコー電子などの企業や行政が発信す る印刷物にウォーターレスマークを掲載しており、水なし印刷を指 定する企業数が増えてきています。そして、JGAS2001において、 凸版印刷をはじめとする日本全国のWPA加盟印刷会社約20社 が集まり、日本のWPA活動の第一歩を踏み出しました。