6月24日、日本WPAは第一ホテル両国において、五百旗頭忠男氏(日本WPA前事務局長)が、「drupa2016報告〜印刷界の近未来を俯瞰する」と題して講演された。
五百旗頭氏は、1962年の第4回から連続13回に渡りdrupaを取材してきた経験を持ち、この「drupa皆勤賞」とも言える深い経験、各方面の重鎮との交流、外国メディアへの取材を通じて、五百旗頭氏独自の中小印刷業の視点からの、「誰も書けない、誰もが知りたい」貴重なdrupa報告であった。
冒頭,drupa開催の歴史に触れ、1951年の第一回展は、わずか10ケ国・525社の出展しかなかったが、2000年のミレニアム記念の第12回展には、開催市のデユセルドルフ市の人口に迫る42万8000人以上が来場したこと、また開催回毎に付けられるニックネーム「オフセットdrupa、CTPdrupa、インキジェットdrupa」等々が紹介された。また、最大の展示スペースを有する出展社が、ハイデルベルグからHP(ヒューレットパッカード)に変わるなど、デジタル印刷を象徴するdrupaの変遷を紹介された。
種々の報告の結びとして、「インクジェット方式デジタルはまだまだ開発途上であり、トナー方式のデジタル印刷は完成度が高く、実用面での不安の無い」ことが示された。
更には、「自社単独でのものづくりよりは、ネットワークを活用してのものづくりをする方が、勝負できる時代になってきている。現有の手持ちの機械類はリノベーションをして性能アップを図ってゆくべきで、新台を考えるなら小型デジタル印刷機の導入であろう。ネットワークとしては、日本WPAのような団体をうまく活用することが重要で、物づくりに長けた会員が多く、ぜひ、相互交流を図っていただきたい。」と結ばれた。
なお、五百旗頭氏の講演録はここをクリックしてご覧いただきたい。