先にも触れたが、展示会は規模の大きさではない。来場者にとってためになる、買いたいものが見つかるものであり、出品者にとっては購買意欲のある来場者が来てくれ、多くの購買に結びつくことである。主催者はその取り持ちの土俵を作り、双方の魅力造成に勤めることである。Graph Expo 2014(GX14)は今までにない大変濃い内容の展示会と関係者は証言している。実にうらやましい限りである。
展示会にハプニングはつきもので2001年Print展では例の世界貿易センタービルへの突入テロが起き、残り何日かのところで大手の出品者は引き払った展示会の会期前閉めを起したりした。今回はそれほどまでもないが、開催直前にオーロラ市の連邦航空局(FAA)での火災がおき、4251便もの欠航が発生、シカゴ近辺2空港で12,000便の深刻な遅延が起きた。
Discovery Print Houseのオーナー、Igbanny Kaluは28時間かけて会場に入ってきたりした。こんなハプニングで、Technology Watch のオーナー、Henry Freedmanは15の面談約束を履行できず、商売チャンスを逃したりするケースも出た。しかし、結果は昨年度の8%減、19,229人の入場者が来てくれたのだ。
開催直前の日曜日の午前中に開催されたExecutive Outlookセミナーは印刷会社の近未来の立ち居地を示してくれる洞察に富んだ話と評価され、また、Dr.Joe Webbの講演も大胆な近未来暗示を示すものとして大変好評であった。
業界紙の取材録を見ても大半の出品者は売れてよかったとしている。売れ筋の大半はデジタルにまつわる商品であったが、アナログ商品でも光るものがあったとしている。後付LED-UVは前述したが、Presstek社はこの度、エプソンのプリンタをそのまま使い、アルミ生版の上に描画する低廉CTPシステムを発表し、これが受けているとのことである。エプソンプリンターをCTPに転用した発想で、インキは純正品でOKとする。また、このプリンターは校正用途としても使える2機能製品とするのが面白い。いわば、小企業向けの簡易CTP機+校正機と言う位置づけの商品である。
また、ECRM社とのジョイント・ベンチャーを発表した、CRON(中国のCTPの最大のメーカー)が高機能・割安版をこの場で発表し、これが受けてきている。やはり、価格指向は今の世の中では避けられない嫌いがある。
Drupa2016年は1・2号館を占めていたメーカーが方針の大転換を図り、パートナーと組んでの1号館出品としている。アナログ系印刷機メーカーも今までと違うデジタル印刷機を出品しそうである。その一方でHPは17号館を占有出品する。drupaの姿勢も大きくデジタルへ向かうものと思われる。
GX14展はコンパクトにして大変見やすい、実のあるセミナーが充実した展示会とし、今後、印刷人の必見の地位を築く気がしてならない。ある種、drupaの先を暗示する展示会になっているのかもしれない。時代の変化が展示会の地位も変えてゆく可能性を感じた。