我々は既に、6年間にわたり印刷物製造時の負荷であるCO2排出量の「見える化」を実施してきているが、これを一般市民にどのように訴求するかの問題に当初、突き当たった。当時は、カーボンフットプリントは一般的に認知されておらず、より社会貢献につながるカーボンオフセットをまずは活用することから始めた。
当時、カーボンオフセットプロバイダーは限定的であったが、そのなかでも先行していた(一社)日本カーボンオフセット(COJ)の支援を受け(図1)、CERをトン当たり4000円の価格で購入したものを会員企業へ譲り渡すことから運用を開始した。ところが、この価格ではクライアントが負担しにくく、割安クレジットを探すなかで、東日本大震災が発生し、価格をさらに低減したものが求められた。他方、震災の余波でせっかく盛り上がったカーボンオフセット事業にも冷水を浴びせられた。
図1: COJと共同で構築した水なし印刷の国内クレジット・ カーボンオフセットの仕組み
そこで我々は思い切って、在庫していた国内クレジットの販売促進も狙い、クレジット購入者には別途、協会の原資からトン当たり3500円を東北復興義捐金の積み立て基金に充当する、東日本復興義捐金付き・カーボンオフセットの国内クレジットを考案し、促進キャンペーンを打ち出した。 2012年6月5日、この義捐金は目標の150万円に達し、日本赤十字社において贈呈式をさせていただいた。
その後、あの痛ましい東日本大震災への継続的な支援の意思表示として、経済産業省が作り上げたトン当たり1500円(義捐金充当750円、クレジット分750円)の東日本復興支援・国内クレジットの活用に取り組むこととなった。
2014年度からは、この意思を引き継ぎ、カーボンフリーコンサルティング(株)のより安価な東日本震災被災企業支援クレジット(図2)を活用している。
図2: カーボンフリーコンサルティング�の東日本復興支援・国内クレジットを活用した カーボンオフセットの仕組み
他方、国内クレジットは地産地消でこなしたいというニーズが、最近富みに増してきている。この声に応え、滋賀県版地元クレジット(図3)を2014年4月から始めることになり、順調な滑り出しを見せてくれている。
図3: カーボンフリーコンサルティング�の地産地消・国内クレジットを活用した カーボンオフセットの仕組み
地産地消のクレジットで地元企業、行政からの受けの良い仕組みである。この計算と運用は会員ならば無償のPGGクラウドを使って運用できる。