Marketing Theaterの風景
この展示会での併設されているセミナーの本数が70本以上と、実に多い。その範囲も多岐にわたるものである。悩める印刷人が何かヒントを求め、ここに参加する。それ以外にも、展示会場内にはFuture Print、Marketing Theater、Wide Format ISA Theater、FTA Converting Theater、Print Media Centerなどの小シアターが設けられ、気楽に無料で参加できる場を設けている。これを聞いてみたが、結構、ビジネス上参考になる話をしてくれている。
しかし、アナログ派の筆者から見れば、展示スペースの無駄とも映る。やはり、かつての重量機械メーカーが大スペースを占めてくれた時代と違い、コマの埋め方に主催者も苦労されているのだ。よって、かつてはマコーミック北館・南館、ほか全館を使っての展示がされたものの、現在のPrint展は最盛期の1/3は縮小されてしまったのだ。当然、来場者数も落ちている。
来場者は目的を絞った方のみになってきてしまい、その価値を認められる出品者にとっては頼もしいイベントになってくれているのだ。展示会そのものもが変質してしまっている。
日本からの来場者は新聞社系の団体募集がなくなってしまい、会社単位の団体、先見性を持つ個人が来られたので、思いのほか、日本の印刷人は訪問している。
展示だけではよくわからないのが、ワークフローである。小ロット化してくる仕事に対応するには、仕事の回し方を上手にこなさなければならず、まずはプリプレスの段階からワークフローは出てきた。印刷、加工へとその領域は広がり、CIP4でのやり取りが一貫してできつつある。特に、機械メーカー、プリプレスメーカーはそれなりの完成度を持った形で作り上げられてきたが、ここへ来て、米国では小ロット化対応で顧客とブリッジしたワークフローの必要性が出てきているのだ。よって、ワークフローは印刷会社の仕様で作るべきという声が出てきている。
小ロット化対応のもうひとつの手法が、web-to-printとしている。これは印刷ネット通販を意味するものだけでなく、顧客との受発注、原稿・制作のやり取りの業務をネットワークで活かして、顧客も印刷会社側も合理化していこう動きであろう。この分野をめがけ、実に多くのベンチャー企業が出品してくれていた。彼らに言わせると、CIP4は専門家でないといじくれないではないか。印刷人の知識と技量で使いこなせる、小カスタマイズできるのがわれわれの仕組みだとする。中には下請け印刷会社が使えるweb-to-printと宣伝してくれるベンチャー企業もあった。これらはクラウドの仕組みで思いのほか、安い価格で提供してくれている。
やはり、ひたひたとクラウド活用に時代に来ているのだ。