VIM社はDI印刷機用の互換版のメーカーとして、2000年に誕生した。当時、ハイデルベルグ・クイックマスターGTOVが脚光を浴び、その後、クイックマスターの登場、さらに、KBA
カラット(B2)が出てきて、これからはDIの時代と一時はもてはやされた。ところが、プレステック社のDI版は1社独占の商品にてその版は大変高価についていた。
イスラエルに本拠地を置くVIM社は機敏に時代を読み取り、このプレステックDI版に挑戦する互換版メーカーとして登場してきた。
DI版のある特許が昨年に切れたことにより、米国でのVIM社のDP-R版(DI互換版の名称)の販売がうなぎのぼりに上昇してきた。DI版の本拠地の米国で成功を収めてくれている。同社は2006年に日本WPAの協賛会員となり、我会員のDIユーザーに購買会という仕組みでDI互換版を供給してくれ、購買会の実績も63回も続くものとなっている。
この度、VIM社のCEO・Ronen Frishと技術者・Yuval Duboisが来日し、水なし版新製品・DOS版(無化学処理現像・高細線・高耐刷力版)のテストのために来日した。24日は西宮市のわかくさ印刷で、CTP焼き付け、印刷テストを行った。
ハイデルベルグのTop SetterでDOS版を焼き付ける。光源のモジュール度のデーターがあいにくなく、手探りでの焼時間の設定を行ったが、東レ版に比べ、35%増のレーザー量を与えたところ、満足のいく結果が得られた。
わかくさ印刷の水なし版は外注に依存していて、現像装置がなく、やむなく、テスト版は手現像で行った。ところが、この版の色は真っ黒で検版が非常にしにくいものである。この理由は8月に切れる特許をまって、可視検版のできる色に変えるという。まだ、第1次製品テストという段階であったのだ。東レのイノーバ版とその性質は限りなく似ていて、手で擦っただけで非画像部は落ちてくれる。
東レイノーバ版の概念図、DOS版は限りなくイノーバ版に似た性質の版である。
角2封筒をSM52-4機に積んで印刷テストへ
試しに、日本WPAの角2封筒、本番の仕事を通してみた。手現像不備の箇所が露見され、その箇所だけ機上の版を水を含ましたメリヤスウエスで軽くこすって、さらなる部分現像を行った。これで版は目指すところの現像は達成でした。しかし、実用としてはやはり、水現像機が必要であるのは論を待たない。わかくさ印刷の女性オペレーターは慣れたもので、あっという間に、製品の角2封筒500枚を刷り上げてくれた。
角2封筒の刷本を点検するYuval Dubois
22日は岩崎鉄工株式会社のTR-2ラベル印刷機でのテスト刷り試験を行ったが、同社の井後課長から刷出しの地汚れがなく、インキの着肉性の良さを評価してくれるものであった。
テスト版では300線を再現してくれる内容で、高細線は確認できたが、残念ながら耐刷力のテストまではできなかった。秋には再度来日し、完成版を持ち込んでベーターテストをしたい意向のようである。
3日間、水なし印刷関係者のお力を得て、テストをさせていただいた。彼らと同行し感心したことは、顧客に入り込み、単にテストをするだけでく、顧客の悩み、泣き所を丁寧に聞き出していることであった。一人何役もこなす役者たちで、必死で水なし印刷人の悩み、展望の余地を聞き出し、解決策を編み出していこうという姿勢に感心させられた。短期間で、イノーバーに似た製品を作り出し、さらに今以上の製品開発を目指す所存がはっきりと読み取れた。
水なし印刷人にとって力強い味方になってくれそうである。