日精ピーアールの水なし印刷を前面に掲げた、環境に取り組む活動が日経産業新聞4月9日号に取り上げられた。以下その記事の本文を転載させていただく。
保有する印刷機全2台をエッチ液などの薬剤を使わない「水なし印刷」装置に改めた。従来型は色をつけない部分にアルコールを含んだ水を流し、水がインクを弾く性質を利用して印刷する。この際に出る廃液からVOCが発生していた。新しい装置は薬剤と水の代わりにシリコンを使う。インクの原料も石油製品から植物性に変え、VOCの排出をゼロにした。
再生可能エネルギーで発電したグリーン電力は昨年度に、年間30万キロワット時の消費電力のうち、2万5000キロワット時を購入しており、今年は2倍に増やす。将来は全量をグリーン電力で賄うことを検討している。印刷用紙はNPO法人の日本森林管理協議会が承認する森林保全に配慮した製品を使用する。
印刷物には�水なし印刷、�植物性インクの使用、�グリーン電力の活用、�森林保全——を証明するマークを付ける。環境配慮をしたい企業や自治体からの受注拡大を見込む。同社の売上高は2013年3月期に約8億円。16年3月期に売上高2割増、売上総利益3割増を目指す。中村社長は「環境対応で印刷物の付加価値を高めたい。」と話す。
VOC排出量の抑制は印刷大手も取り組んでおり、大日本印刷が11年度に前年度19%、凸版印刷が7%削減した。VOCを回収して焼却したり、有機溶剤に戻して再利用している。両者とも水なし印刷を一部で導入しているが、顧客の様々な要望に応えるため印刷機を全て入れ替えるのは難しい」(凸版印刷)と言う。
▼揮発性有機化合物(VOC) 英語でVolatile Organic Compounds。トルエンやキシレンなど石油化学製品が代表的な物質で、塗料や接着剤に多く含まれる。大気に放出されると光化学スモッグの原因となり健康に悪影響を及ぼす。
政府は大気汚染防止法を改正し、06年度から施設ごとに排出基準を定める規制を開始した。10年度の国内の排出量は05年度に比べて3削減の79万トンだった。印刷業の排出量は全産業の6%を占める。 ‐‐