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セミナー・見学会

2009年11月22日

第16回セミナー見学会が天地人の郷で開催

11月20日(金)、日本WPAは54名の参加者を得て、第16回セミナー見学会を米沢市で開催した。その工場見学先は今年度の日印産連主催の印刷産業環境優良工場コンテストで経済産業大臣賞を受賞された精英堂印刷であった。この受賞の背景を勉強したい一念で、今回の見学会となった。
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印刷産業環境優良工場コンテストの経済産業大臣賞の表彰盾
米沢駅から20分ほどの周囲が森の広大な工業団地の一角に大きな1階平屋建て(1部2階建て)の印刷工場としては理想的な工場である。さすがに東京と比べると寒さの度合いが違う中で、参加者54名全員12時50分には精英堂印刷に集合した。社員の皆様に歓迎され、食堂にて鈴木社長から歓迎の挨拶があった後、会社幹部の皆様から工場の説明後4班に分かれて見学を開始した。全員頭にキャップをかぶりコースを回る。現在の同社は、ラベル・パッケージ印刷に特化されて、函のデザインからプリプレス、印刷、検査、加工、製函までをワン・ストップで製作されている。
まず見学第一印象は、従業員の皆様は仕事に誇りを持ち、元気はつらつと映ったが、これは重要な要素である。工場の掃除は行き届いている、ゴミ1つ、チリ1つ落ちてない、これは日ごろから、落ちたごみはすぐ拾うと言う、即戦即行のしつけが出来ているからであろう。
後で聞くところによると、きれいな工場からしか良い印刷物は生まれないという、理念がしっかり行き渡っているからだった。曰く、5Sの徹底である。同社はTQCを達成するために、小集団活動を活発に時間外で行っている。「この活動の年に1回の発表会では、最優秀賞には30万円、2位賞には20万円、3位賞には10万円、外に努力賞には5万円などかなりの賞金を出します。今回の最優秀賞は3名の班でした、どのように賞金を配分したかは分かりません。」とのお答えであった。
枚葉印刷機はハイデルベルグ機と小森機それぞれ水なしと水ありが共存しているが、原則は水なし印刷としている、つまり顧客から水ありでやってくれと要請がない限り、通常は水なし印刷で行なう。環境を全面に出した受注戦略を徹底している言う感が深く受けられる。
また、紙粉対策はどうしているか?との質問には、最初にブロワーで吹き飛ばして、また機械で最初にごみ取りをしているが、これで効果は出ていると答えてくれた。
ヤレ率は0.5%前後で大変素晴らしい。はっきりと回答されなかったが、質問者がうちは0.4%位と言われていたのに対し、それより若干高いと答えられた。
いわゆる品質管理、お客さんに対してクレーム品を出さない、と言うことを工場内に徹底されている、各工程の後に検査機にかけてチェックをし、最終的には目視でチェックをしている。パッケージという最終顧客の眼に直接触れる商品だけに、クレームに対するチェックは非常に精緻にやられている。会社の理念からして、工場清掃につながっているのではないかと感じた。
同社の特徴の一つに、資材のリサイクルを徹底してやっていることだ。
井上常務のお答えで、例えば、リサイクル目標99.9%に対し、結果は99.85%であった。リサイクルするためにどう分別するかがポイントになる。まずやらなければならないのは、その使用目的を把握することである。集積された紙がどう使われるかを、引き取り業者に聞かなければならない、その使用目的によって分別している。トイレットペーパーになる紙は、それように、段ボール紙に再生する紙はそれように分別をしている。
また、ある種の紙は焼却後セメントの添加物資材に再生転用される。セメントの中に異物を混入させないよう、例えば金属片、プラスチック片などを取り除いて分別している。事細かなリサイクルを徹底させるため、分別基準表を作って社員に配布している。
「水あり、水なし、UV、油性と多種に渡った印刷方式をこなしているが、予備紙は相当使うのではないか?」との問いに、
「予備紙は一般的に10%を切っている、また全部一律と言うことはなく、化粧品など非常にうるさい製品には、相当余分に予備紙を付けることもあります。」
「UV・油性のローラーの維持管理は?」との問いに、
「油性とUVインキには、UVローラーで対応している。ブランは、そういう訳には行かないので、完全に分けている。今日は油性、明日はUVと言う集中運用を心掛けている。
当然の事ながら、最後は函、ラベルなどになる、普段、我々が見ない設備もある。感心したのは、三条機械の水なしラベル印刷間欠輪転機を高度に使いこなしていることである。水なしのおかげでFMスクリーン、マイクロ文字なども見事に再現され、毎年のシール大賞の受賞につなげている。
 今年度の経済産業大臣賞の受賞にふさわしい工場で、参加者全員、これからのあるべき印刷工場の姿を勉強させていただいた。精英堂印刷の鈴木社長、社員の皆様大変ありがとうございました。
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精英堂印刷(株) 鈴木社長が見学者に歓迎のあいさつ