2月26日、日精ピーアールでVOC放散量を測定した結果、何と、この工場は水なし化したことにより印刷運転中のVOC放散量が0ppmと言う値を示してくれた。この記事が早速、Waterless Current2008年5月号に取り上げられ、国際的な反響を頂いた。我々はこれを再度、条件を変えたもとでの実証測定を重ねた。
4月15日(火)、同社はW2インキの試験を行う場を利用してVOCの再計測にあたった。通常の印刷状態ではJ-Print機は5色/5色の水なし両面刷りを行っていて、インキは基本的には入れっぱなしで、ローラー洗浄をすることもない。版変えの連続で仕事を進めていくので0 ppmを工場内は保持できる。
W2インキのテストを兼ね、専用洗浄液WW-1で洗った時に、どのようなVOC放散が起きるか検証した。
我々測定班が到着したのは午後1番、午前中の通常水なしインキでの仕事は終え、ローラー洗浄した直後であった。この時、洗浄液・洗油の残留が漂っていて計測の結果、VOC値は室内で20〜30ppmを示した。そこで、外気を入れるように扉を数分間開けた。10分後に計測の結果、工場内のVOC値は0ppmとなってくれた。
この状態で、W2インキを投入し同社で始めてのW2インキテストに取り組んだ。印刷中のVOC放散量は当然、0 ppmであった。次いで、WW-1液(水系洗浄液)でローラー洗浄後のVOC値を測定した。一瞬、700ppmを示したが、1分もたたないうちにその周辺は30〜40ppmに減衰する。通常の洗油だと2000〜3000ppmはゆうに示してくれる。確かにWW-1でのVOC放散量は低い。過日、ある工場での計測では、水あり印刷の印刷中、湿し装置からは常時700ppmを放散していたし、機械周りで70〜90ppmと言う値であったが、WW-1の洗浄で出るVOC放散量はいままでの常識では考えられない数値であった。何度かのテストを重ね、同社はW2インキの使用に踏み切ろうが、恒常使用化でのVOC放散量をぜひ、確認してみたい。
J-Print機下の第3胴で印刷時のVOC値を計測、0 ppmを示してくれた。
J-Print機の上ユニットでWW-1液をかけてインキ洗浄。その放散値は700ppmと低い値で、1分後には周りは30〜40ppmに減衰した。