2008年北星社ギャラリー・カレンダーは17回シリーズを迎え、地元・但馬地方・朝来市の創作人形作家・安保ゆき子氏の石粉粘土の人形作品をテーマとしたものである。主婦でありながら、通信講座で人集めされ、教育の傍ら制作に励まれた、人形作り師と聞く。人形のまなざしのライティングはまさに、細心の注意を払ったものであったが、1700万画素のデジタルカメラで行われた。しかし、その出来栄えはアナログカメラ並みにできた。
人形に吹き込まれた表現の再現を目指し、水なしフェアードットFMスクリーン、ノンVOCインキ、再生紙への印刷でチャレンジされた。網点密度が上がったにかかわらず、その高細点が水なし印刷の特徴を引き出し、きれいに再生紙に着肉された結果、着物の絞りのデテール、顔の仕上げの表情まで、ものの見事に再現されている。加えて、大変環境にやさしい印刷方式で、地方部で地元の芸術家を掘り起こし、芸術性訴求、その技術の環境性訴求をしてくれている北星社に敬意を表したい。読者の皆様、機会があればぜひ、本物のカレンダーを北星社に頼んでご覧いただきたい。
安保ゆき子氏の創作人形の作品・元旦
作品の一部、羽子板部を拡大、着物の模様がFM水なし技術で見事に再現