全印工連水なし印刷研究会との共催による、国際水なし印刷セミナー(IWPS)は9月21日(金)、東京ビッグサイトの会議棟607号室で、110名の参加者のもとに盛況に開催された。
日本WPA・田畠会長、全印工連水なし印刷研究会・奥会長が冒頭、主催者を代表して、このような国際的な会を催すことができたことに、会員・参加者・関係者への熱意に謝意を述べた。
開催後になったが、公務多忙の全印工連・浅野会長が時間を繰り合わせ、わざわざ駆けつけてくれた。
「印刷クライアントはここへきて印刷物への環境考慮を求める動きが、急に出てきている。1年前には考えられなかった動きである。全印工連水なし印刷研究会・日本WPAの皆様はかねてより、その意識を持たれ、地道に取り組んでくれたことは喜ばしい限りである。今後とも、環境に良い印刷ものづくり、EMSへの取り組みに励んでいただきたい。」と挨拶された。
講演は同時通訳により、次のとおり行われた。(レジメはリンク先PDFファイル参照)
●EWPA会長 Detlef Braun氏
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自らは水なしUV印刷のコンサルをしている。KBA、ローランド、リョービなどの印刷機メーカーが意欲的に水なしUV印刷に取り組み出してくれ、欧州で今、ブレークし出した。印刷素材がより多様化し、より品質向上・安定を求められ、さらに、環境への配慮は避けて通りにくくなってきている。
このソリューションとして、水なしUV印刷が拡がってきている。今までの、CD-ROM、カード印刷の特殊限定領域だけでなく、パケージ・商業印刷などより汎用用途への積極展開は目を見張る。欧州でのその興味ある取り組み事例に触れてくれた。
●Mozaic社・社長・Dale Ford氏
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同社は首都ワシントン市にあり、1993年以来のWPAの会員で、全米で一番、環境問題に取り組んでいる会社で、水なし印刷、グリーン電力に積極的に取り組んでいる。
オーナーから要請され、8年前に同社の経営者に就任。彼は次世代の経営者養成を意識している。CIを果敢に敢行し、業務改善・新経営計画の策定を行う。この度、工場の大幅拡張とB全判KBA社の6色水なし印刷機2台導入に踏み切った。この導入にあたり、主要印刷機メーカーに自社特製のテストチャートを持ち込み、印刷した結果、KBA機の選定に軍配を上げた。
さらに、自社仕様にカスタマイズした、ハイフレックスMISシステムを導入し、工務の自動化も間もなく始まる。小ロット・quick turn-around(手離れ迅速化)への取り組みは水なしUV化、MIS化をおいてないと言い切る。UV水なし印刷はその材料費が高くつくことに目を向けてしまうが、実際は、単位時間内の生産量の高さは従来方式から比べ、3割以上にもなるのだ。
結果、採算性も向上すると言ってはばからない。さらに、印刷はPassion(情熱=思い入れ)そのものと、公言した。印刷工から身を起こし、現場を熟知した、改革に燃える経営者の姿を見た。
●De Persgroep Publishing社 EPC(Eco Print Centre)社長・Rudy Bertels氏
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欧州の新聞業界も、緊迫状況を迎えていた。DPP社は輪転機の老朽化、広告紙面のカラー化、加えて、部数の小ロット化、価格低下の圧力に見舞われ、思い切って設備の更新を決めた。従来の発想では、じり貧は避けられず、検討する中で、斬新な発想の輪転機、KBA社のコルティナの導入を考えた。
当然日本にも来て水なし印刷の下調べもした。結果、コールドセット水なしオフ輪機にドライヤーを抱かせ、通常はコールドセット水なしで動かすが、コート紙ではヒートセット水なしを使う、しかも使用インキは同じインキを使う、というものであった。水なしのお陰で前準備は迅速を極め、小ロット生産には威力を発揮しる。しかも、仕事の幅も広がり、所業印刷分野にまで手を広げている。
氏が言うには、ネットの圧力で価格抑制が働き、従来の延長の思考では新聞業界も経営できなくなってきたとしている。小国、ベルギー北部での多言語、小ロット、quick turn-around(手離れ迅速化)は水なしコールドセットとヒートセット兼用オフ輪で生き延びるめどをつけたとしている。
●鶴山雅図仕印刷有限公司(HESHAN ASTROS PRINTING LTD. 董事(Director)Roy Tang氏
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珠江デルタの鶴山市でこの25年間で立ち上げた、驚異と脅威の印刷会社。枚葉4色以上機を95台所有している。得意先は全て欧米の会社で毎日、納品ものを90台のコンテナーで出荷している。
創立はペーパーバッグからの立ち上げであったが、欧米での販売ルートの道をつけつつ、真新しい土地に、真新しい最新の設備、真新しい人材を寄せ集めて立ち上げたのが特徴。真新しい土地に、中国奥地から集めた人材、25000人が生活する、新興都市まで作り上げた。上製本、ポップアップ本、手加工の伴う印刷物は特に得意とする。
今は力をつけ、自社内に印刷加工研究部門まで作り上げている。また、環境、Pマーク、品質管理など公的な認証を数多くお墨付きを得ている。
この会社では、世界を相手にする気構えでいて、不況などとはおよそ縁遠いものである。貪欲にも最近、環境配慮の水なし印刷に積極的に取り組み出し、世界市場で通用する、印刷ものづくりを目指したいと、語ってくれた。
開会のあいさつをする日本WPA・田端久義会長
公務多忙の全印工連・浅野会長が時間を繰り合わせわざわざ駆けつけてくれた
110名の参加者が全国各地から、豪州・インド・韓国・中国から集まってくれた。
同時通訳の下でのセミナー風景。