12月15日、第12回工場見学会は新日本印刷・羽田東京工場で開催され、13時からの第1コース、15時からの第2コースに北は岩手県、南は鹿児島県から合計、111名の日本WPA会員ならびに、全印工連水なし印刷研究会会員が年末の多忙の中にかかわらず、参集してくれ、熱心に見学してくれた。
電線会社のしっかりと造られた建物をリフォームし、1階にB輪、3階にA輪を建物の特性をうまく利用し増床して設置され、理想的な都心型印刷工場の姿を披露していただいた。
最初に、新日本印刷?・社長・佐野年計氏が同社の概要内容を紹介してくれた。この水なし専用工場を建てられた意図、印刷の新しい基準、エコロジーとハイクオリティの両立を目指したこと、話は会社の沿革に移る。同社の創業、さらに、昭和53年、27歳で家業を継承してから、58年6月に大阪市場への進出、62年2月にプリペイドカード印刷をひっ下げての東京市場への進出、62年6月、プリプレス設備、サイテックスを6台設置して通信回線にいち早く手がけたCCSの経緯、その後の社会情勢の変化と新たな対応、平成9年6月、東京支社ビルの建設、この度の羽田東京工場の新設を忌憚無く披露していただいた。東京、大阪、中・四国地区でバランスの取れた売上を確保し、最大でも5%シェアーと言う得意先分散を図っている経営方針を貫かれている。
15トンエレベーターを備えた立体物流のできる都市型工場を見学したが、目下、仕事を満杯に抱え身動きできない中での工場見学を許可していただいた。
熱心な質疑応答が最後に行われたが、製造部・小田原部長、生産管理課・道城課長が親切に質疑に応えられた。質疑に答えられた内容は次の通りである。
○CTPデーターは築地の東京支社ビルにある生産管理部でリップ化されたデーターを、羽田工場に転送し、ここにあるCTP装置で出力をしている。よって、こちらではアルバイト要員で対応できるのだ。校正は生産管理部の方でインキジェット出力をして確認している。
○水なしオフ輪での水なし版の耐刷力は最高で18万に達してくれた。10万枚は日常問題なく通している。
○水なしを上手に使いこなすには、一にも二にも工場内の環境整備、温度湿度管理、適正材料の選択である。一旦、環境整備が図られると、この版式では確かに、スキルレスで運用できる。条件未整備ではスキルレスの運用は図れない。
○上質紙・粗面紙ではスピードは落し気味になるが、アート・コート紙では水ありと同様のスピードでこなしている。
○まもなく1年を経験するが、4シーズンを経験して工場内環境整備、運用のコツをつかめて来た。
○空調設備としては、ダクト方式と水循環ファン方式を採用している。六三印刷の事例を参考にすると面白い。
大変含蓄にあふれるサジェスションをいただくことができた。
新日本印刷工場見学会の1コマ、佐野社長の話に熱心に聞き入る参加者
新日本印刷工場見学会の1コマ、活発な質疑応答がはかられた