新鋭機リスロン菊半裁両面10色機のさらなる、水なしによる高度化使用を目指し、ワンランクアップの印刷プロセス目標を掲げ、インキ会社、機械メーカー、製版材料メーカーの技術者が集合し、精力的に印刷テストを1日かけてこなした。このコーディネートを日本WPAがさせていただく。
印刷テスト内容
版 インキ 印刷
1)片面AM175 通常インキ 標準濃度あわせ
2)片面AM175 広色域インキ 標準濃度あわせ
3)片面FM20μ 広色域インキ 標準濃度あわせ
4)片面FM20μ 広色域インキ グレーバランス合わせ
5)片面FM20μ 広色域インキ 10%(Y.M.C)高めの濃度
6)両面FM20μ 広色域インキ
○標準濃度、K=1.85、M=1.45、C=1.55、Y=1.30とした。
○4)で行った結果、ICCプロファイルを計測し、これを4色広色域インキ用の分解データーとしてフィードバックする。次回のテストではフィードバックされたデーターをもとに分解したものを出力する。
○6)で行った結果、表裏のツヤの差がやや目についた。
○水なしでは絵柄、山間の細かい灯り(細かい白抜きに見える)が再現されていた。
○色再現域が広がってくれたものを1週間内にグラフデーターとして出す。
○インキメーカー側からこの技術レポートを出していただく。
○このテストの結果、初期の狙いのワンランクアップの印刷の実用化にこぎつける目処が立ってきた。
同工場はフォーム印刷工場として16年前に建築された。工場空間の割合からみて空調能力が十分なものでなく、製本時の複写ものの狂いなど生じることも起きた。昨年、リスロン10色機をこのフォーム印刷工場棟に設置するにつき、完全空調のはかれる施設に切り替えた。それまでのスタンドアロン空調機から、ダクト風流、湿度噴霧の設備にしたのである。
その結果、紙伸びに関する事故は皆無となる。また、湿度が最適に保たれた結果、冬場の風邪を引くものがなくなり、従業員の出勤率が向上してくれた。完全空調とは紙だけでなく、人にもいい結果をもたらしてくれるのだ。
これらのくだりを8月25日の日本WPA・第10回セミナー見学会で講師から話をさせていただく。
この機会に、VOC計測テストをさせていただいた。水なし印刷では低いVOC放散量を示してくれたが、フォーム印刷機側の条件で工場内全体はやや高い値を示してくれた。
印刷テストをした刷り本を並べている
工場内にくまなく設置されたダクト風流、湿度噴霧
別の角度からのダクト風流、湿度噴霧