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2006年06月16日

(株)久栄社・千葉工場様はVOC発生を極限に押えている

日本WPAは18年度の活動として、印刷工場でのVOC測定事業に取り組み始めた。
この事業は大気汚染防止法の精神でうたわれている、自主的規制に則るものである。
(株)久栄社は環境を売りにされている印刷会社であるが、6月15日の日本WPA測定班の印刷現場での計測の結果、工場全体でVOC発生を最低限に抑え込まれている点が判明した。
同工場の天井は4mと高く、また、工場内のエアコンと空気循環は十分に配慮された内容のものであった。
3月にハイデルベルグの新鋭機、スピードマスター102−8Pが設置され、全て4色以上の機械で四六半才から四六全判まで4台の機械が設置されている。これら全ての機械は、水なし印刷で稼動されているため、印刷時のVOC発生量はいたって低い数字を示してくれた。

換気が入った状態では工場内は10ppm以下になっていた。102-8Pの印刷時の胴間でのVOC発生量は13ppm、2胴の壷上で13.6ppm、給紙部で11.2ppm、操作部で10.6ppmに過ぎなかった。他の同僚機でもほぼ似た数字に始終している。
407号機(四六半才4色機)で自動ブランケット洗浄に当たった時、胴間でのVOC発生量は1194ppmを示した。これは不織布に洗浄液を散布して巻取るタイプのものであるが、手洗いから較べると低い値になっていた。
新鋭機ハイデルベルグ102-8Pのブラン洗浄でのVOC発生を調べてみたかったが、通し物をされていて、機械を停止する機会がなかった。
水ありとの比較のため、近隣の水あり印刷工場のご協力を得て、菊全4色機でのVOC計測をさせていただいた。その結果、給紙部では47.6ppm、操作部で45.9ppm、3−4胴間で49.4ppm、3胴のインキ壷上では59.8ppmを示した。湿し循環タンクの蓋を閉めた状態でも65.3ppmを示していた。
水なし3工場、水あり1工場のVOC放散量の測定の結果、水なしでは湿し水の回転、呼び出しと液の蒸発による、VOC放散は印刷工場内での一定のVOC発生要因となっている。
最近、業界で環境意識の高まりから、水あり方式での環境自主規制を設け、現像レス方式を取り上げてゴールドプラスと主張されているが、製版の一面だけを取り上げ、肝心の印刷工程での対策に触れず、環境対応をはかっていると申されるのは如何なものであろうか。
湿し水をなくすことが、工場内でのVOC発生を極端に抑えられること、洗浄方式の改良、水洗浄性インキの採用こそが都市型の印刷会社で環境をうたえる方式になりうると、計測を通して確信を持つに至った。
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ハイデルベルグ102-8PでのVOC放散量測定
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四六全判機の胴間でのVOC放散量測定