環境・社会・経済にわたる世界共通の17の目標の達成に向けての取組であるSDGsのへ参加が、国、地方、企業に広がっている。SDGsに盛り込まれた課題の解決が企業にとっては事業機会と投資機会を生むことになる。投資機会とは、ESG投資である。環境(Environment)、社会(Social)、統治(Governance)に配慮している企業を選別して投資することを、頭文字をとってESG投資と言っている。
このEGS投資の判断の基準に、CDP(Carbon Disclosure Project)が実施する公開情報が、最も参照されている。
CDPとは?
CDP(Carbon Disclosure Project)は、気候変動などの環境問題を取り組む国際NGOである。CDPは、世界の主要企業に二酸化炭素排出量や気候変動への取組に関する質問状を送り、回答を分析・評価し、公開することで、企業の取組情報を世界共通の尺度で評価し、企業と機関投資家との対話につなげている。
CDPには、気候変動(CDP Climate Change)、ウオーター(CDP Water)、フォレスト(CDP Forest)の領域での取組の情報公開を行っているが、加えて、サプライチェーン(CDP Supply Chain)のプログラムも実施されている。CDPサプライチェーンプログラムは、このプログラムに参加する企業に代わり、CDPが納入元企業(サプラヤー)に質問状を送り、回答を求めるものである。(株)ウィストボックスの調査では、合計約100社が参加、約10,000社のサプライヤー企業に質問状を送付しているとのこと。
企業向に印刷製品を供給している印刷会社も当然サプライヤーであり、今後プログラム参加企業が増大すれば、対象となるであろう。
日本では、500社に質問状が送られ回答率は57%で、評価はA−Dランクで行われるが、最高評価Aランクは13社、次のA−ランクは59社、Bランクは73社となっている。世界グローバル500への回答率は77%、米国S&P500では66%と日本に水準はやや低い
次回は、GHG排出量算出(スコープ1、2、3)と排出量を削減する取り組みであるSBT(Science Based Target)を取り上げる。