日本印刷学会誌Vol51, 6号は環境面から印刷への取り組みについて特集が組まれ、一連の論者から見解が述べられている。水ありオフセット印刷の観点から、水なしオフセット印刷の観点から、また、日印産連からは環境に取り組む姿勢についても紹介されている。
原理から見ると水なし印刷は環境面では優れた版式である。しかし、今もってその普及率は10%超えに甘んじている。世知辛い世の中になり、環境などのきれいごとなど言い張っても商売にならない、こんな世情を反映しているのかもしれない。
しかし、特筆されることは、日印産連の総説の中で、印刷産業環境優良工場表彰制度の最高位賞の企業、第10回の新日本印刷(株)、第11回の日経印刷(株)、第12回の(株)ウエマツ、第13回の六三印刷(株) 水沢工場がページを割いて紹介されている。この4社は全て、水なし印刷のユーザーなのである。ここ何年かで環境意識の高い印刷会社が水なし印刷を採用してくれているのだ。
水なし印刷人の3氏がその総説を執筆してくれているが、以下でご一読いただくと幸いである。
●水なし印刷によるVOC発生の抑制について−印刷方式別の現場でのVOC実測データーの比較− 佐藤巳次
●水なし印刷物の環境影響評価からカーボンオフセット/カーボンフットプリントへの展開− 五百旗頭 忠男
●水なし印刷と水あり印刷の環境影響評価について−環境分析ツールT-E2Aを用いたLCA評価 松本俊光−田畠久義