ぷらざ勉強会の一行の歓迎挨拶を述べる山本征一郎社長
筆者は25年続いている82回ぷらざ宇都宮勉強会に11月26〜27日、参加させていただいた。勉強会の参加者の一人が漏らした感想、「ヤマゼンコミュニケイションズ様は、まさに未来系の印刷会社の姿である。」は言い当てた言葉だ。
2000年に栃ナビを手探りで始められたが、ぐるなびが登場する前に、ぐるなびの形の栃木県密着口コミサイトをいち早く作り上げていたのだ。お店の紹介は無料で掲載されるが、よりヒットさせ、人が集まるようにするには、お店は有料サイトに入らなければならない。有料加入店舗は1500店舗あり、これで今日、安定収入が計られている。
一方、消費者会員は登録時に基本データー記入がなされ、8万人の登録会員を抱えている。5年の忍耐期を経て黒字転換し、以降、倍々の収益に結びついている。栃ナビは口コミサイトの元祖的存在で、印刷会社が良くぞ、ここまでのものを作り上げたものだ。口コミは中傷情報をブロックするため、栃ナビで検閲をかけている。
口コミサイト→小額定額課金→安定収入が見事に結実し、県内の顔の分かる消費者とお店とをマッチングさせる仕組みが出来上がっている。
1月に行われた「マルシェ・パン」のイベントはヤマゼンの駐車場で行われたが、何と、栃ナビによる呼びかけで8000人の集客を1日で集めた。この集客能力が評価され、地元デパートや他5社が栃ナビに集客イベント企画の依託仕事を発注してくれたのだ。
栃ナビ部門の収益性はいたって高いが、この顔の見える消費者の資産を活用し、法人営業部が創注印刷物を仕掛けている。今日、見積もり合わせの世界に嵌ると印刷物での収益がほとんど取れない時代になってしまったが、ヤマゼンの印刷物は創注印刷物が主流となっていて、非価格競争の世界でこなしている。わが国では個人情報保護の観点から、顔の見える消費者像を掴むことは至難なことではあるが、栃ナビは個人会員の了解の下で顔の見える消費者データーを自社で集積しているのだ。これは販促企画を打つ上で大きな差別化となる。ROI(費用対効果)の効能まで説得する印刷物提案などができるのだ。つまり、栃ナビは単なる口コミサイトではなく、お店と消費者をマッチングさせるとともに、データー蓄積を通し、その分析情報を元に最終的には、法人営業部隊が印刷の創注営業に走っているのだ。ものの見事にうらやましい限りの非価格営業を具現化してくれている。このMSP(マーケティング・サービス・プロバイダー)ビジネスモデルは世界広しと言えども、欧米にもないものだ。
アナログ印刷生産設備はハイデルベルグSM-8Pが1台のみ、かっては沢山持っていたハイデル機をこの1台に集約してしまい、2台の断裁機、折機を3名の社員でこなしている。事務棟にはiGen4とドキュカラー、関連製本機が入っていて、B2Cの印刷物をこなしている。
制作室はワンフロアーで仕切りなしになっていて、机は時に応じて配置を換えている。手馴れたもので1時間もあれは配置換えはできるとしているが、まさに、台車生産の仕組みにも似たやり方をされている。
社員一人ひとり、グループには金額目標があり、実績も公表されていて、一人ひとりが責任と自覚を持つようになっている。この好循環の仕組みは新規採用にも現れ、昨年度は、3名の採用者に600名の応募者が殺到したのだ。
まさに、他に類を見ない未来系のマーケティング・サービス・プロバイダーを作り上げておられた。この素晴らしい「印刷を核とした」会社(print centric company)を
一般紙掲載記事で改めて紹介させていただく。