Graph Expo展(GX展)は米国で開催される印刷展示会でPrint展のない年に、毎年開催される展示会である。かっては重量印刷機メーカーが中心部に構え、アナログ印刷を謳歌していたものがこの数年ですっかり形が変わってしまった。当然、展示会規模は小さくなり、来場者数も減ってきた。今年のGX展の裏側の空きスペースには無残なものがある。
しかし、さすが、デジタル先進国の米国では展示会+バーチャル展示会の素晴らしい仕組みを整えつつあり、時代のニーズに応えられる形となってきた。いわば、リアルとバーチャルの仕組みを複合させ、難解なデジタルの知識、製品を見極め、選択するにはうってつけとなってくれている。
展示会は4日の会期で終わる。バーチャルの展示会はそれに比べ会期が終わっても何ヶ月かは残せる。ちょっとした、見落としとか、調べ物をする、または、同僚に伝えるにはこのバーチャルの仕組みは有効である。開催日の朝は、Show Dailyなる展示会の出品・イベント広報が紙媒体で配られるが、今回からこれがサイト上のpdfで見られるようになった。これで展示会に行かなくとも展示会の雰囲気をずいぶん掴められるようになった。
従来の冊子案内カタログの情報が何と、今回からスマホに格納され、紙本でなくスマホディスプレイを頼りに会場のブース回りができるのだ。
GX展の来場者は事前登録した上で、固有バーコード番号のついた名札をいただく。入場時は必ず入り口係員の手でバーコードがスキャニングされ、入門者の実数が把握されているのだ。また、会場内イベントとか、カタログをもらうにしろ、名札のスキャニングが求められる。よって、出展者とか、イベント担当者は誰がブースを訪ねたかを把握できる。
今年の入場者数はまだ、発表されていないがおよそ2万人ちょっとという感じだろうか。しかし、購買意欲の旺盛な客が押し寄せ、会場が狭まったせいもあるが、ひっきりなしの応対に明け暮れたと述べる出品社が多い。また、商談成約も多くできたとしている。
出品社の規模別ランキングで見ると、何と日本のデジタル機メーカーが大規模ブースを構えているのだ。日本勢なくしてGX展は成り立たないといっても過言ではない。驚くことに重量印刷機はリョービMHIのLED-UV機とPresstek社の小型4色機だけとなってしまった。今や、PX展はデジタル展と言う形に変質してしまっているのだ。