第2弾の本書が「This Point Forward(これからの方向)」である。Graph Expo2014のKODAKのブースで無償配布される。第1弾の本は印刷界では数少ない世界的なベストセラーとなった。
Graph Expoは米国シカゴで毎年開催される展示会であるが、展示会の規模はご多聞にもれず、縮小してしまっている。デジタル機器が中心となり、重量印刷機が出ないので、旧印刷人にとっては寂しさを感じる。出品する側も商売にならないのなら、出しても仕方がない。こんな傾向が印刷展ではすっかり定着してしまった。
では、見る側の印刷人はどうなのだろうか。一般の印刷人にとってはわざわざ、シカゴまで行って、何かぴんと来るものでもあれば良いが、それとてありそうもない。行く価値があるのか?それゆえ、日本からの業界紙主催の団体ツアーも消えてしまった。仕事柄、丹念に海外の印刷展を視察させていただいているが、Graph Expoは今になってみると、さすが、変化に早くから見舞われた米国の地だけのことはあり、見甲斐、行き甲斐のあるイベントになってくれていると見受けている。
この10月は辛口で有名なDr.Joe Webbが来日し、ハイデルフォーラム21とJAGATで講演されるのでちょっとしたブームになろう。彼は常々、印刷界の未来を暗示し続けてくれ、それが当ってくれているので、この点を私は評価する。
不透明感の漂う中で、ずばり先々を暗示してくれる役者は印刷界にはおられないので、貴重な方である。そのJoe WebbとR.Romanoが先見指南書の第2弾「This Point Forward(これからの方向)」を発刊され、Graph Expoの来場者に無償で配ってくれるとは素晴らしい。指南書第1弾は例の「Disrupting The Future(未来を破壊する)」であった。第2弾は2020年を見据えた印刷会社のあり方を大胆に予想して解説してくれている。
展示会開催の前日、9月28日には前日ガイダンス・セミナーが開催され、PREMIRの手による”Value-Added Printing & Finishing for Improved Profitability,” なる講演が聴けるが、「印刷だけでなく、小額のクロスメディア投資をして運用している印刷会社が業績を伸ばしている」との見解が出され、直近の統計を使っての実のある、示唆に富む講演とのことだ。
このGraph Expoイベントでは共催イベントは60本引用もあり、ほとんどはどなたでも参加できる。また、有料セミナーも65本も用意されてる上、展示会場内でのメーカーのセミナーも多数ある。
英語力は必要であるが、日本では得られない、先の見通しをつけ、自社の立ち居地を明確化できる知識と体験を得られるイベントと高く評価している。