EWPAの方々と意見交換する中で、欧州での水なしUV印刷ではゴム系のEPDMローラ(UV専用ローラ)が必須とAlexもDetlefも主張する。ところが、日本では専用ローラでなく兼用タイプのローラが好まれてきた経緯があり、兼用タイプの樹脂系ローラが普及してくれている。
汎用ゴム種として名だたるEPDMゴムは、印刷用ゴムローラとしても、古くからUV用専用ゴムローラ材質としてシール印刷分野などで使われている。EPDMローラは欧米でも、日本でも各社ゴムローラメーカーから提供されているが、この材質はUV専用タイプで油性インキとの兼用ができない。
日本市場ではEPDM系の専用ローラより、UV兼用ローラが好まれたため、特殊NBRゴム系材質の方が主流であったが、その流れに沿って同じく兼用タイプの”樹脂系ローラ”が普及されたため、今では、EPDM系材質はごく一部のユーザー層で使われ、日本市場ではあまり使われなくなってしまったのだ。
現在、日本では、一般的にUV用ローラとしては樹脂系ローラが大半を占めてしまっている。樹脂系ローラの特長として、ゴム系よりUVインキ・洗浄液にも耐膨潤性があり、表面強度もあり、ローラの発熱性が小さく(水なしにも適する)、また、ローラ表面上でのインキしまり(乾き)障害等がほとんどなく、さらに、印刷紙面へのUV硬化障害もなく(LED-UV系でも問題ない)、ゴム系UV用ローラに比べて樹脂系ローラの方が大幅に使いやいとの評価が出ている。
日本のUV印刷市場での普及度で見るとEDPMローラでなく、樹脂系ローラであるが、欧米では逆に、樹脂系ローラーの普及度は低く、この樹脂系材質は、欧米では敬遠されているきらいがあるのだ。
加貫ローラ製のUV水なし印刷に適する樹脂系ローラ、アバントUV30
その主な理由は樹脂系では、加水分解(軟化劣化)を懸念されているためであろう。日本市場では使用される洗浄剤の影響度も含め加水分解の発生はほとんどいないが、日欧間での使用される洗浄剤の違いが加水分解を誘発する要因の一つにあるようだ。
よって、欧米では、現在もEPDM系のUVインキ専用ゴムローラが広く好まれる傾向にあると解釈した。