シカゴのPrintPrint展は筆者にとって、6回目の訪問になる。以前のPrint展を知るものにとって、印刷人としていろんな意味で大変寂しい思いに映る展示会である。アナログ派にとって、あの機械の実演の音が聞けないのも一因であろう。しかし、冷静に考えると、米国で見えた世の中の移り変わりなのである。ドイツ勢の最大手メーカーは出品を取りやめたし、他の2社もブース展示だけに終わった。金をかけただけ、元の取れない商売に終わるのなら出品しないのが当然であろう。これに相対し元気さを見せたのが、日本勢ではなかろうか。小森コーポレーションは社長自ら乗り込み陣頭指揮の上で、しっかりと重量印刷機の展示をしてくれた。キャノンは最前列ブースに陣取ったし、コニカミノルタはB2インキジェット印刷機を出品した。Duplo、OKIも新製品を出し積極性を見せている。
Print13では完全に、デジタル機器中心の展示となったし、これは米国市場がそのように動いているからに他ならない。フランク・ロマーノ教授は最近、座談会で�ドイツの重量機械メーカーは米国市場の声をこの何年間か、真剣に聞こうとせず、結果、米国での存在感も薄くなってきた。�旧来印刷ビジネスはもはや、持たなくなってきている、と言い放っているではないか。ただし、日本での赴きはここまでは行かない。
変化に対応しようとする、米国業者のアントレプレナー魂にはすばらしいものがあると感心する。�旧来機の清掃メンテを機械屋のお墨付きのもとで我らが行うと出品する業者、�インキカートリッジを既設機に取り付けるよという業者、�ブランケットを研磨再生して再使用し、コストダウンを図るという業者、�省力機器とか、CIP3を既設機に取り付けるよと宣伝する業者などである。アナログ印刷機をできるだけ長持ちして使おうとする風潮に見えてくる。
その一方、web-to-printをやろう、クラウドで何と月額115ドルで使えるよと印刷会社へ呼びかけるベンチャー企業が現れて来ている。まさに、印刷でもクラウドビジネスが開けかれようとしている。アナログ方式の成熟化の中で如何に印刷企業の新たな価値をどこに見出そうとするか、その模索が続いているのだ・・