CHINA PRINT 2013
3年に一度開催されるCHINA PRINT 2013(第8回北京国際印刷展)が、北京市にあるNew China International Exhibition Center(中国国際展覧中心)で5月14日(火)から5日間にわたり開催され、東レブースで水なし印刷の展示を行うということで、視察して来た。当報告書はそのレポートである。
展示会場はW1〜W4およびE1〜E4の8つの展示棟で構成されるが、CHINA PRINTは入りきらず、敷地に11個の仮設棟を設け、合計19もの展示会場で、広さ16万�の規模で開催され、入場者数は18万人に上り、drupaに次ぐ規模の国際印刷展となっている。
出展社数は、117ヶ国、1,268社に上り、4年前のCHINA PRINT 2009に比べ、60%も規模が拡大している。
日本メーカーは尖閣諸島問題の影響を受け、入り口から一番奥のE4棟に押し込められるか、仮設棟への移動を求められた。富士フイルムやキヤノン、リコー、コニカミノルタ、エプソン、大日本スクリーン、三菱重工は、E4で出展し、インキメーカー各社は仮設棟で出展した。
E2棟の日本企業ブース
仮設棟
今回、東レは申し込みを中国のCTPプレートの製造・販売会社であるXingraphics社(成都)経由で行い、共同ブースとしてE2棟で出展した。小森もこの方式でE2に出展していた。従って、展示会のホームページや案内図には社名が掲載されていなかった。
東レの共同ブース
展示会場は多くに人でごった返し、初日は特に満員で入りきれないほどであった。後半にわたって、混雑は緩和されていったが、いずれにせよ中国の購買欲はまだまだ、健在のようである。
水なし印刷ブースは、水なし印刷の基本的な特性や環境対応性を中心にパネル展示およびビデオ形式で展開され、多くの水なし印刷物も展示した。会場自体は共同ブースのため2階建てで、展示スペースの割にはかなり広く感じられた。
水なし印刷の展示ブース
展示会ではオフセット印刷の目指すべき方向性として高效(高生産性と効率化)、緑色(環境対応)、数字化(デジタル化)を上げていたが、この緑色分野での世界三大技術の1つとして水なし印刷が加わっており(他はプロセスレスとデジタル化)、印刷技術としての水なし印刷の認知度や注目度はだいぶ上がって来た。
会場で発行・配布されたテクノロジーガイドのオフセット編では前半に来られていた松本部長のインタビュー記事も掲載され、部長の満面の笑みからもわかるように中国市場での順調な成長が伺える。
松本部長のインタビュー記事
認知度の向上に伴い、中国の大手印刷会社を中心に採用実績も着実にあがっており、CHINA PRINT 2013と同時に行われたCHINA PRINT AWARDS(中華印制大賞)では、金賞部門に2つの水なし印刷での印刷物が受賞し、銀賞やその他の賞でもいくつかの水なし印刷物が受賞していた。
金賞の水なし印刷物(利奥紙品有限公司)
金賞の水なし印刷物(金杯印刷有限公司)
最高の大賞を受賞した雅昌企業(集団)有限公司の北京工場も最近水なし印刷を採用した会社で、会場のすぐそばにあったので見学させていただいたが、複数台の小森の印刷機で水なし印刷が採用されており、当日はページ物を実際に水なし印刷で生産していた。
このように新技術として注目度の高さや大手の印刷会社での認知度はあるものの、しかし、広い中国市場において、多くの中小の印刷会社や世間一般での認知度はまだまだ低く、今後とも、より一層の宣伝や販促、露出の機会を増やして行く必要があると思われる。一方でこのことは、中国市場において、水なし印刷は、まだまだ伸びる余地が十分にあるとも言えるであろう。
(社)日本WPA 会長 田畠久義 記