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2013年01月14日

油性インキでの速乾印刷法

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日本印刷新聞の1月7日号に興味深い記事が掲載されていた。「油性インキでの速乾印刷法」とは今の印刷現場の悩みを解決してくれる方策であるのは確かだ。これを打ち出した関係者の皆様に深く敬意を表したい。
この手法のポイントは、水をできるだけ絞る、そのための機械コンディションをベストに保つと言うことであろう。
まさにこの手法を水なし印刷で10年前から実践されていた技術者Sさん(現在、印刷訓練校講師)に体験談を聞いてみた。
「機械メーカーに在籍中の昨年、この手法を新聞記事で知り、都下のあるユーザー印刷会社でも高い関心を寄せていたことを思い出した。
この手法で基本となるのは、印刷機械の正しいメンテである。自分の理解するところでは、多くの印刷会社の経営者はメンテのために機械を停止し掃除をするのは時間を無駄と見がちだ。少しの時間でも、紙の上にインキを乗せる作業をしていないと不安であるし、メンテは非生産活動だから現場が暇なときにやらせれば良い・・・・と、こんな感覚であろう。
一方、水なし印刷の元祖、B印刷社でのやり方を振り返ってみると、この速乾印刷記事に掲載されているような日常メンテを既に現場で行っていた。定期的なメンテ・掃除の時間を就業定時時間内に設定し、必ず実行していた。結果はどうであったか?
ある時オペレータ達から、仕事をどんどん入れられたためにメンテをする時間が取れない・・・と、クレームが出た。週末にメンテができないときは、必ず翌週にそれを行っていたのだ。
印刷品質維持のため機械のメンテは必要な作業であると、これは誰もが認めるところであり、全員が同じ意識で生産活動を行っていた。
メンテも仕事のうち、と経営者が認識を改め現場にその考えを浸透させていけば、速乾印刷法は水なし印刷でもできたるのだ。そう、水を絞りきった印刷が水なし印刷なのだ。
水なし印刷を使いこなすには、「メンテも仕事のうち」という考えを理解することにあると思う。中途半端な考えで水なし印刷を始めた会社は、途中で挫折することがままあり、そのことが水なし印刷の評判を下げる一因にもなったりする。
ある地方のF印刷のA社長に4年くらい前に、品質の向上のためには工場の環境と機械のメンテが重要であると説明したところ、即座に実施に移し成果を上げられたと喜んでくれた。そして、その延長線上で水なし印刷導入に結びつけることができ嬉しく思っている。
印刷は手間仕事である。手抜きを行うとやはりその影響は避けられない。他人任せのメンテは、結局品質維持にも良い結果をもたらすことが出来ないのだ。
メンテを徹底させて水なし印刷を運用すると、品質向上→ヤレ紙削減→資源削減→CO2削減→地球温暖化削減効果と、大きな好循環につながってくれるのだ。」
Sさんの体験実践論には奥深いものがある。