経産省によるカーボンフットプリントの試行事業は平成23年度末で終了し、産環協への民間事業移行となった。多くの方々の努力の積み重ねでこの事業は曲がりなみにもひとつの基礎固めとはなってくれた。これに関わった一人として、ぜひ、本格普及へ持ち込み、究極的には国民、消費者の地球温暖化防止の意識の高揚へつなげたい思いでいる。
我々印刷人がこの事業に関与できるものではないのか? いや、我々印刷人こそ、印刷メディアの余白にCFPマーク(カーボンフットプリント・マーク)を意識的に着けまくり、一種のスポット広告まがいの効果を生み出せるのではないのか? 印刷物は消えて亡くならないし、再読性・回覧性があるのでとてつもない、累積効果を生むのではないのか?
そのためには、印刷人が簡易にして、正確な値を算出できる計算ツールをもとに、水なし印刷PCRとして新体制の産環協に申請するための、会員協力者で基礎資料整備、見解整合の会議を催した。この場には、申請代行・支援をして下さるTCO2株式会社のM氏にもご参加いただいた。清水宏和博士が長年かかって研究され、欧州や東南アジアの国際舞台でもその内容につき、高い評価を得つつ、現実的な運用構想を備えたPGGをベースにした斬新な構想の10項目代替・印刷PCR計算式を提唱してくれている。
早朝から、M氏を交えて申請素案の検討会を催した。同氏の見解では6月1日に発表された産環協のPCR要求事項に沿う内容が必要とされる。
これを受けて、12日(木) 10:00から会員企業6社が集まり、現行の印刷PCRを申請して認可を得た会社3者も加え、問題点に踏み込んだ、突っ込んだ内容を討議した。
1)10項目代替案は現実的で、印刷現場を知り尽くした素晴らしい内容である。日本WPAが実際に昨年度に印刷PCRを申請して認証を得たCFP認証値3点につき、清水博士が示してくれた10項目代替値の差異を映したが、何と10%位に収まっている。
2)プリプレスのデザイン制作など外注の制作者にいちいち、所要時間を聞いても、実際にその振れ幅は大きい。結果、全体のCFP値から見ると取るに足りない数字で、なぜ、このような無駄なことを作業として義務付けるのか、疑問に感じる。
3)シナリオを作ってそれに当てはめようとする考えの実技上の不要な労力度に疑問を感じる。シナリオとは作成者本人の印象とか、意思がはいってしまい、その割に実際の数値と合っているのかもつかめない。一種のルールの作った側の自己満足の感じがして、運用者のことを全く考えてくれていない。シナリオなど一切なくし、必要10項目の値で出した数字でCFP認証値と差異が出ないなら、ぜひ、このような運用にしていただきたい。
4)まずは、10項目代替案のPCRをぜひ、申請して認めていただきたい。その後、名刺、封筒、典型的なパンフレット類、冊子類などのシリーズ認証が取れるように計らってもらいたい。
印刷媒体にCFPマークをつけまくる、これを印刷人が乗れるようにするには、現行のCFP値の計算手間を根本的に考え直す必要がある。清水博士は良く我々の感覚をつかみ、素晴らしい提言をしてくれている。
参加者から大変な激励を受けてしまうとともに、その責任の重さを痛感した。
12時で貸室は時間切れとなり、その後、1階のロビーに席を移し、M氏と清水博士を交え、素案と今会議で受けた会員からの要望事項のすり合わせ作業を重ねた。最後に会員の総意を込めた「水なし印刷PCR」推進の趣意をスライドでまとめさせていただく。