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2010年07月18日

WATERLESS CURRENT 2010年8月号

WATERLESS CURRENT 2010年8月号を会員各位に送信させていただいた。巻頭記事をここに掲載する。
一滴の水も必要ない、湿し水の除去
7年前、このニューズレターの中の巻頭記事で水なしの印刷を使うことで水を使わないことを強調した。今日、我々は、浄水の供給不足をきたす問題を思い出させてくれる。多くの人々が水の渇望する一方で、世界の工業国側の人々は水の価値を無視する傾向は大変な問題である。この記事の素材は2004年4月に出版されたものである。
●私達が浄化できる給水量は一定である。2,000年前に地球上にあった浄水以上の量はないのだ。当時の人口は今の3%規模であった。
●前世紀に、世界の総人口は3倍になり、浄水の使用量が6倍も跳ね上がった。
●世界の60 億人の住人は川、湖、地下帯水層にある、摂取できる浄水の54%に手を伸ばしている。2025 年までに人口増加に基づくと人類の摂取シェアーは70%になる。一人当たりの水資源の消費量が今の割合で上昇し続けるなら、25 年内に使える浄水の90%を使いき
り、他の生物は残り10%しか残らない。
●この傾向が持続すると、2025 年には世界人口の2/3 は深刻な水不足、水欠如に見舞われ
よう。
●人体の70%以上は水で構成されている。体内水1%の以下の欠如で喉の渇きを覚える。5%
の欠如で微熱が出る。8%の欠如で唾液が出なくなり、皮膚が蒼白になる。10%の欠如で
歩けなくなり、12%では死に追いやられる。*
* 世界水アセスメント計画
●地域によって異なるが、工業は世界の人類の水使用量の23%を占めている。
●米国はもっとも巨大な水の使用者の一員である。一人頭の平均、水使用量は1 日、150ガロン(567 リッター)で、欧州人は50 ガロン(189 リッター)、アフリカ人は7-1/2 ガロン(28 リッター)である。
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* 世界保健機構、世界銀行、および米国国際開発局は1日あたり人あたり20〜40リットルの水を推奨する。水の摂取量が多いほど、人間の健康と体力をつけてくれる。 詳細について2ページの年間用法チャートを参照。
この数年の間に、私達は水なしの印刷に起因する水資源保護に関する統計を掲載してきた。さて、J. L. Lennard Pty Ltd.( オーストラリア)の前会員・Norm Fizellのおかげで、私達はさまざまな印刷機での湿し水消費量の統計を持っている。 Normの研究は、オーストラリアベースの数字であるが、私達の米国印刷にもほとんどにあてはまってくれよう。
1直制あたりの年間湿し水使用量
印刷機寸法と色数    リッター ガロン
28″ インチ/ 61cm
5-6色 . . . . . . . . .    10,000 〜 12,000 . . . . . 2,646 〜3,175
40″ / 102cm
5-6色 . . . . . . . . .    12,000 〜 14,000 . . . . . 3,175 〜3,704
8ユニットオフ輪
巻取り(1メートル幅) . . 90,000 〜100,000. . . . . 23,810〜26,455
4ユニットオフ輪
巻取り(2メートル幅) . . 130,000〜150,000 . . . . . 34,392〜39,683
これらの数字によると、2 台の40 インチ水あり印刷機と1 台の28 インチ水あり印刷機を3 交替で回している中堅印刷企業では1 年間に、102,000- 120,000 リッター(27,000〜 32,000ガロン)の水を使うことになる。大した量でないように今は映るが、数年のうちに1 日当たり、75–85 ガロンの余分な水が致命的と言いかねないであろう。これを考えると、20 年以内に水供給で国家間の争いが起きるのでないか。
私達が吸う空気
印刷で使われている環境汚染物質のリストは化学実験室のようである。ある調査員が見積るには、米国だけで印刷会社は4,100 万ポンドの有害化合物を毎年、外界環境に放出している。米国環境保護庁の報告では、印刷工業は全有害放出物(TRI)の99%は空気中に、残り1%が地中と水中へと向かう。他の有害化合物を放出している工業では、60%が空気中、30%が地中、10%が水中へ向かう。
アメリカン・インターナショナル・グループによると、毎年、ほぼ石油ベースのインクで20億ポンド以上の量が米国の印刷業界によって使われる。インキ添加剤に加えて有害化学物質の多くは石油系のもので機械洗浄やブラン洗浄に使われ、環境への重大な危惧をもたらしている。石油系洗浄剤は60%以上のVOC(揮発性有機化合物)を含み、これがスモッグを引き起こしたり、オゾン層の破壊、呼吸困難の要因になったりする。
呼吸困難の最も一般的症状はぜんそくで、それは驚くほどの早い割合で進行してきている。 2,300万人のアメリカ人がぜんそくに苦しむとアメリカ肺協会は概算する。最近、ハーレムの中心部(ニューヨークのマンハッタンの北端)の主に貧しい市街部の4人の子供の内の1人がぜんそくであることが発見された。ニューヨーク・タイムズによると、その進行度は、専門家が予期していたものの2倍である。
スモッグ、屋内外のオゾン、および大気汚染粒子など、ぜんそくを引き起こすには多くの要因がある。印刷業界に向けられたほとんどの規制法は、スモッグとオゾンを起こす化学薬品の使用を減らすか、取り除くように求めている。
版を濡らすアルコール代用品は、環境問題である大気汚染を満足させることを意図している。しかし、これらは、高い沸点を持っていて、オフセット版で主力に使われていた、あのイソプロピルアルコールより少なく蒸発するグリコールである。究極の目的はこれら化学薬品を使わないことだが、代用品でもまだ、EPAメソッド24テストをもっても、揮発性の有機化合物(VOC)として分類される。エチレングリコールはまた危険な大気汚染物質(HAP)として大気汚染防止法によって分類される。例として、最も一般的な湿し水添加剤は、2ブトキシエタノール・ブチル・セロソルヴ、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコール、またはモノ-ブチル・エーテル(CAS # 111-76-2)でIPAの代用すとなる。 これらは米国大気汚染防止規則の下でVOCとHAP(危険な大気汚染物質)と考えられる。それはまた有害廃棄物であり、CERCLA条項の下で報告義務を課せられ、水で薄めての放出には不適当とされている。目、皮膚、吸入、または摂取との接触に関するこれらの化学薬品への警告; 刺激物で、これが目、皮膚、血、腎臓、肝臓、リンパ系、および中枢神経系を犯したりする。
OSHA(職業衛生と安全管理協会)は50ppmの放散規制としている。汚染された湿し廃液の処分は印刷会社にとって経済的負担と規制報告の提出を義務付けられる。1ガロンあたりおおよそ42セントから1.00ドルのコストがかかり、危険でないとみなされると、55ガロンのドラムは、55.00ドルとなる。最高に危険と見なされると、1つのドラムあたり約100ドルかけられる。有害廃液では会社の利益を減らすことになる。
Norm Fizellのリポートでは、枚葉機、1直制・8時間稼働での年間アルコール使用を、10%運用(オーストラリアでは抑え気味と解釈、氏によると、暑い地区では蒸発が早く実際の用法は多分15%とか20%とする)としたとき、
枚葉機、1直制、年間アルコール使用量
印刷機用紙サイズ・色数   リッター      ガロン
28″ / 61cm
5-6色 . . . . . . . . 1,000 〜 1,400 . . . . . 265 〜 370
40″ / 102cm
5-6色 . . . . . . . . 1,200 〜 1,600. . . . . .320 〜 425
湿し液の注釈:湿し液の主要成分は水である。印刷機の上で、湿し水として75%から95%までは使われてしまおう。この湿し水の有効性は地場の水質に依存する。湿し水は自然なPhが必要で、外部から浄水を入れてpH調整をしたりする必要があるかもしれない。蒸留水とか、イオンを取り除いた水は、最も安定度のあり、使ってみるかもしれない。
版を濡らす特性は湿し水の表面張力が影響する。湿し水中のアルコール、グリコール、またはゴムは、非画像部での濡れをよくしてくれ、版上の表面張力を切ってくれる。添加物は、インクを引き付けて高感度化された画像部では吸収されない。ゴムは酸性条件の下で最もよく機能するので、ほとんどの湿し水はpH 4-5と酸性化させている。

表面張力はゴム(界面活性剤)とアルコール(cosurfactant=共力剤)両方によって減らされる。アルコールは、また、湿し水の粘度を上げてくれ、版の非画像部に塗布される湿し水の層を厚盛りに保ってくれる。アルコールは水より速く蒸発するので、湿し水は紙にそれほど残らない。アルコールは、湿し水の中でのインキ乳化の傾向を減らす。
先の例を使うと、2台の菊全機と1台の菊半裁寸伸び機を持つ中堅の印刷会社では3交代制の下では年間10,200〜13,800リットルのアルコール、または、3,650ガロンを使うであろう。米国ではアルコール代用品が広く使われることは注目されるべきであろう。
水と湿し添加物をなくすこと、特に一般のオフセット印刷で水と添加物が使われてきたことを考慮すると、水なしの印刷プロセスに切り替えると有利になる。これは浄水の莫大な節約につながり、世界中の水なし印刷業者を賞賛するしたい。私達は、印刷業界の残りの方々が水なしPresstekまたは東レの水なし版への切り替えを考慮することを望む。
私達の会員にとっても、会員の顧客と検討されている方々にも、水なし印刷の大きな環境の利点をマーケティングし続けて行くよう激励したい。