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脱炭素

2024年03月14日

豪雪地帯で木の力を生かしたパネルログ構法で脱炭素:南会津町水道施設

脱炭素チャレンジカップで「日本WPA未来へはばたき賞」で顕彰した福島県南会津町を訪問し、佐藤一範副町長、遠藤知樹環境水道課長、星善介環境水道課の星善介係長と面談した。地元紙の福島民報、福島民友新聞に掲載された脱炭素チャレンジカップでの受賞についての記事、福島民報&福島民友新聞記事 でご覧ください。

パネルロゴ構法
星係長に町内の各施設の現場の案内と説明を受けた。
既報(https://www.waterless.jp/5767/)の通り、南会津町は水道事業での脱炭素化策として、施設建屋の木質化を推進している。水道設備のポンプや、殺菌、モニタリングなどの水道関連設備は豪雪地のど真ん中施設に設置されている。木質化の施設は、コンクリート製の施設に比べ結露による凍害からの劣化が防止できる利点のほか、木が持つ力がいたるところで発揮できている。木の力を生かしているのが、独特のパネルロゴ構法(木と生きるパネルログ構法)である。

地元の山林から出る間伐材などを含む木材から成形された柱状の木材同士をビスで留めて、木のパネル「パネルログ」をつくり、この「パネルログ」が「構造材(耐力面材)」「下地材」「断熱材」「内・外装仕上げ材」の4役をこなしており。

パネルログ構法に使用される木材は、上位等級品を使う必要はなく、低位級とみなされる木材も使用し、余った材は「窓パネル」などに使用し木材ロスが非常に少ない構法で、コスト削減や人員の軽減にもなっている。このように、地域の木材を有効活用し適切な木材循環を促すことが「健全な水循環」に繋がり、森林の本来の機能(水浄化、土砂流出防備、貯水)を維持し、かつ大気中のCO2を吸収し、建物になった後もCO2を固定化し続ける素晴らしい取り組みである。

(水道産業新聞2/15記事)
DX、GXを実践
冬季には気温は、-20℃近くまで下がり特別豪雪地帯に指定される厳しい環境で、総面積は盛岡市とほぼ同じにもかかわらず人口1.3万人の過疎地域でもある。(ちなみに盛岡市の人口は28.2万人)最重要のライフラインの水道施設は、26ケ所あるが、ネットワークの構築で住民にとって最適な水道事業を営んでいる。そしてこれらの施設の木質化により、
脱炭素化社会実現に寄与し、SDGsのゴール6(安全な水とトイレを世界中に)、ゴール11(住み続けられるまちづくりを)、ゴール12(つくる責任、つかう責任)、ゴール15(陸の豊かさ守ろう)に貢献している。
日本水道新聞でも取り上げられております。日本水道新聞2月15日 。

なお、2025年大阪・関西万博のシンボルとなる全長2㎞の木質構造のリングは、福島産の木材で集成材加工されて使用されるが、樹齢約50年にもなる上位等級の木材である。パネルログ用に使用されるのは、その他の下位等級の木材であり、トータルとしての森林保全に大きく貢献している。