株式会社文星閣は5年前より、W2インキ(水洗浄性インキ)に取り組み、数回の改良版のもとでやっと、通常の水なしインキの水準に達した商用タイプW2インキが手に入るようになった。最近ではこのインキを要望する固定客もつかみ、大変大きな評価を得ている。
成分に鉱物油を含まない、つまりインキからのVOC発生ゼロ。水性洗浄液で、ローラー洗浄が可能、つまり洗浄液からのVOC発生ゼロ。さらに洗浄廃液はろ過して再利用(研究中)。
水なし印刷との併用で刷版工程での強アルカリ廃液ゼロ。印刷工程での有害なIPA(イソプロピルアルコール)を含む湿し水が不要、と結構尽くめの環境では最高適性を備えたインキを実用化し出した。一段と光る、W2インキの訴求のブースであった。
エコプロダクツ2008展の(株)文星閣のブース
印刷通販ピーネットは最近、メキメキと「水なし印刷と300線高細線」の「印刷ネット通販」で売り出しを図っている会員である。あまたのネット印刷通販サイトがある中で水なしの持つ環境優位性と300線高細線と言う、高品位印刷で多彩との差別化を図っるサイトなない。エコプロダクツ展は始めての出品であるが、17万人もの来場者には強く印象づけたものとなったであろう。
水なし印刷と高細線が売りの印刷ネット通販・ピーネット
環境保護をテーマとした事業活動を展開する野毛印刷は、「環境ラベル」、「オンデマンド」、「人にやさしく」、「eビジネス」の4つのテーマを掲げての出展してくれた。
4つの商品で勝負の野毛印刷
株式会社新藤は今年の第7回 印刷産業環境優良工場 『経済産業大臣賞』を受賞した会社である。この表彰制度は、社団法人日本印刷産業連合会が実施しているもので、企業経営に環境対応を明確に位置づけ、全ての工程において環境が配慮され、改善活動が継続的に実施されていることなどが審査基準となっている。この名誉ある慶事を前面に出して来場者に訴求していた。
ことしの経済産業大臣賞を受賞した株式会社新藤はこの受賞を前面に出していた。
高桑美術印刷株式会社はCD-ROMパンケージをすべて紙製のパーツでつくりあげた新商品を発表した。今までCD-ROMを留めるプラスチック製のへそをなくした逸品である。
されに、あるディスプレーメーカー向けに紙製のライト遮光フードを作り上げ、正式採用になったことをお披露目された。紙に防水、坊油、変形防止のコーティングを施し、耐久性をつけた商品である。紙の用途はまだあるぞと、環境を意識する消費者に強い訴求をしていた。
素晴らしい紙製の新エコ製品を出した高桑美術印刷(株)
パッケージの精英堂印刷(株)は2コマの大きめのブースを占め、水なし印刷、W2インキを前面に出した、パッケージ商品を提案されていた。最近のパッケージ・新商品群は水なし印刷、W2インキを採用する機運にあるとしていた。
水なし+W2インキをパッケージで提唱する精英堂印刷(株)
日能研のブースに(株)サンエー印刷が何と、米ぬか油から作り上げたインキを展示していた。日能研の代表者の発案で、サンエー印刷がこの開発をインキ会社と進め、実用化にこぎつけたのだ。大豆油はバイオエネルギーの方へシフトしつつあり、輸入品というハンディが付きまとう。米ぬかは国内品でしかも、余剰量が多く、兼ねてから産業用途を探していたという。国内の余剰資源の有効活用の道が開け、地産地消・輸送マイレージに則る優位性は大変喜ばしいし、ぜひ、応援したいものだ。
「輸送マイレージ」「地産地消」に配慮した新しい、ライスインキを打ち出したサンエー印刷
業界ではカーボンフットプリント、カーボンオフセットの先駆者として活躍中の清水印刷紙工(株)はミニブース2コマを占め、印刷界で初めて切り開いた計算と印刷物でのCO2削減の設計提案を出していた。わが協会も清水宏和氏の指南を受け、独自パンフを作製した次第である。この展示会でも産環協がカーボンフットプリント、商品の「CO2の見える化」へ取り組んでいる仕掛けの最中で、CO2削減を消費行動から巻き起こしたい悲願が込められている。わが水なし印刷人もできる限り、この新しい知見から印刷物作りで答え、支援してゆきたいものである。
今回展示会のさわりの反応では、確かにその手ごたえを感じた。
カーボンフットプリント、カーボンオフセットの先駆者として活躍する清水印刷紙工(株)