株式会社桜井グラフィックシステムズは、平成20年9月25日から、27日(土)の3日間、東京本社で業態変革を実践するセミナー大会を、サクライ最新鋭機トライアル展と併設して開催された。セミナーは著名6氏による実践的な講演内容、そのものであった。来場者は3日間で300名を突破し、遠くは熊本からも来場された。27日(土) 13:00から1時間半、日本WPA・事務局長が「印刷業界が直面する環境規制について—なぜ、水なし印刷が着目されているか?」と言う演題で50名の来場者を前に、講演が開催された。
東京都では光化学オキシダント対策として、過去に自動車の排ガス規制など精力的に実施し、成果を見たものの、VOC削減を図らない限り、根本対策に到達しないとの観点から、都内の蒸発系固定VOC発生源への踏み込んだ対策姿勢を見せている。2012年まで平成12年度のVOC排出量の30%を削減すべく、法規制、自主的取組の推進に当たっている。このVOC発生源の主要産業は1に塗装業、2に印刷業、3にクリーニング業となっている。いずれも、生業で成り立っている業界で、産業を生かしつつ、環境改善を図るべく、切々たる思いで当該業界への啓蒙に当たっている。我々はこの事態をチャンスととらえ、積極的に既存設備での水なし化を図ることでの、都内印刷業者のVOC削減につながることにもチャレンジしてみたい。昨年、水洗浄性インキW2インキと水系洗浄剤WW-1を発表したが、VOC排出量が従来法に比べ1/10になる環境性能を世に訴えたが、この普及に向けても取り組みたい。
このように環境を新しい価値として印刷製品を作り上げ、消費者、企業に訴えることに我々の生き道が見える。CO2削減の観点からも水なし印刷はすぐれものであり、今年度6月、水なし印刷Kg-CO2削減計算モデルを発表した。我々は目下、LCAを自らの手で算出する力をつけ、いかにしてCO2削減につながる、印刷設計ができるかにチャレンジングしてゆく。
10月26日から、日本WPAは団員10名で、米国web-to-printツアーに出かけるが、米国で第2位の印刷通販サイトOvernightPrint.comを見学してくる。同社はヤレ率の低い、付け合わせ印刷の方式としてUV水なし印刷をダイレクトドライブ方式の機械でこなしている。小ロット、UV、高精細には水なし印刷がより適しているとの実践を我々の目で確認してきたい思いでいる。
環境価値に切り込む熱い思いを込めて講演させていただいた。
桜井グラフィックシステムズ・業態変革セミナー大会の風景