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2008年01月12日

水なし印刷に新しい助っ人・100%植物油のノンVOCインキ

「ダイヤトーン水なしエコピュアNEXT」がサカタインクスより発売
今や消費者の多くは「環境との調和」を連めたいと強く意識している。以前の大きな掛け声だけの時期とは違い、買い物ではレジ袋を受け取らない人が多くなり、「環境のために何かしなければいけない」という意識は生活のすみずみまで浸透している。
 生活関連産業ではこうした消費者の意識を敏感に受け取り、自社の製商品にはあらゆる段階で環境との調和を謳っている。
 地球温暖化、化石燃料の枯渇、CO2排出の抑制、大気汚染などに加え、石油価格の高騰は止まる気配がなく、産業全休、全世界を巻き込んで「脱石油」に加速がついてきた。オフセットインキの場合、インキ配合に石油系溶剤を使わないノンVOC化が「脱石油」の代表的なものと言え、オフセットインキの「環境との調和」の度合いは、インキ配合中の石油系溶剤量で表現するのが共通した認識となっている。
 これは1990年代中頃に大豆油インキとして、インキ原材料に天然枯渇資源である石油系溶剤に替えて生産資源である大豆油(植物油)を使用し始めて以来の見方で、現在では環境対
応インキとして社会的にも定着している。
 このようにオフセットインキの環境への配慮は大豆油インキの普及と共に進んだと言えるが、インキの処方全体から見れば大豆油インキでもまだまだ環境に貢献できる余地が残っている。それはオフセットインキのさらなる「脱石油」化を推進すること、すなわちノンVOC化である。
課題は紙面性能
 現在のノンVOCインキはオフセットインキ出荷量全体の1%前後とごくわずかしかなく、日本国内のオフセットインキ市場が環境対応に消極的と見られても仕方がない状態である。
 この背景には、環境関連マークの乱立の混乱、インキの石油系溶剤が、オフセットインキのセット乾燥(紙面性能)・印刷適性というインキへの一定レベル以上の要求度が満たされていないこと、メーカーサイドの生産性や原材料コストにも大きく影響しているために、多くのインキメーカーが製品開発や製造条件の確立に時間を要していること、などが影響していると考えられる。
 サカタインクスはオフセットインキの環境配慮を掲げつつも、「環境との調和」を意識するユーザー層だけでなく生産性や紙商品質を重視するユーザー層に、さらに一般消費者や印刷物発注サイドに目配りした、インキに配合する石油系溶剤を削減(「脱石油」化の推進)した製品群を提案してくれている。
まずは枚葉水なしインキから
 水なし印刷分野では、湿し水不使用であることや製版工程での廃液がクリーンであることなどが環境調和的であるとして、日本WPAが牽引して、多くの印刷物にバタフライロゴが刷り込まれるようになってきている。
 この枚葉水なしノンVOCインキは、水なし印刷の環境調和を更に進めるてくれた、インキ配合に石油系溶剤を使用しない次代のインキと言えよう。
 このノンVOCインキは「樹脂分散技術」を展開し、従来の石油系溶剤に代わる植物油系素材と合成樹脂の双方からのアプローチの結果、新たな相溶性バランスを設定することに成功し、ノンVOCインキとしては革新的なセット乾燥性能を持ち、従来型ノンVOCインキの1/2以下にまで速めることができた。このレベルは一般の紋葉インキと同等レベルに位置づけできるである。
 特長�速いセット乾燥 セット乾燥性はアート・コート・マット・上質などあらゆる紙質で、石油系溶剤を使用した枚葉水なしインキや一般枚葉インキと同じレベルである。
 特長�環境との調和 インキ配合に石紬糸溶剤を使用しないノンVOCタイプ。
 特長�地汚れ耐性  地汚れ耐性とレベリング、トラッピング、光沢を高いレベルで両立させてくれた。
 特長�8色機(両面多色印刷機)適性 反転/非反転を問わず圧胴残りが良好
 これらの特長は、印刷ユーザーと一緒に築き上げてきた、現用の水なしインキや一般枚葉インキによる印刷生産性と紙面品質、ランニングコスト、環境への配慮をより高いレベルに引き上げるもので、このインキを使用すること自体をIS014001の「環境目標」に設定できるなど、「環境への配慮」を謳え、今後の枚葉水なし印刷発展には欠くことのできない局面特性をもってくれている。
 今回、オフセット枚葉水なしインキの配合から石油系溶剤をなくした製品を発売されたが、オフセットインキの顔料、樹脂、肋剤にはまだまだ「石油」を出発物質としているものを多用している。
 1990年代中頃に始まった大豆油インキは、当初はオフセットインキとしての完成度が低くユーザーから敬遠されたが、現在ではオフセットインキ全体の約70%を占めるまでに普及した。これは根強いニーズと技術革新との結果と考えられる。
 サカタインクスはオフセットインキの環境との調和押を推進するために、第一歩として水なしインキから入り、VOCを確実に減らす製品群の投入を目指してくれている。