10月19日、第2部ではパネルディスカッションが催された。ワンランクアップの水なし両面刷り印刷(表裏の同一調子再現性、ファンアウト・ゼロ)を目指して、と言うテーマで、文祥堂印刷?の取締役・吉川昭二氏が司会進行を勤め、以下の各氏が自らの水なし両面刷りの体験を語ってくれた。
印刷会社 パネラー ご使用機
1 文星閣 佐野副本部長 小森菊全6/6SP
2 久栄社 押山役員 ハイデルSM102-8P反転
3 三松堂 中尾顧問 三菱四六全タンデム8C
4 ソノベ 前沢本部長 ローランド反転8P
5 e?グラフィックス 矢島取締役 アキヤマJP(ニスユニットつき)
6 大村印刷 能美本部長 小森4/4SP
7 文祥堂印刷 吉川取締役 三菱菊半反転10C
ダブルデッカー機、反転両咥え機、片咥え両面機、しかも、外国機・国産機と水なしの使用範囲は実に多岐に及んでいる。
ダブルデッカー機は水あり時の上下の湿し水によるファンアウトの問題を、水なし化をはかることで見事に克服できる利点が披露された。逆に、片咥えの利点は先方紙、支給紙で消化できる融通性に富み、コストの厳しい今の時代に合う機械との見解が示された。しかも、版焼きは上下の版は同じ方向で焼けばよく、急な機械変更にも対応しやすいのだ。水なしダブルデッカー機ではは、表裏の差が目立たない上、色の一貫性も保ちやすいとしていた。
四六全判の両面機は唯一、タンデムであったが、何と言っても市場の通し単価は菊全から見ると競争に巻き込まれないため、割高でその採算性は高いものとの報告があった。よってこの会社では設置後1年で直ぐに2台目の機械を導入しているのだ。四六全判では水なしではファンアウトの問題はさらに軽減されるとしていた。
反転機を採用している会社は単に、両面刷りだけでなく、5色、6色、7色印刷を狙っているのである。稼動採算性としては両面刷りで稼動した方が率は高いが、現在の仕事の内容、将来への夢を託した部分も無視できない。
自動車会社を親会社に持つ会社の事例では、設備投資の償却は印刷界の通例とする10年償却などは許されないとしていた。3年が彼らの償却期間の常識で、印刷会社ではそれは無理であり、書類上では5年ぐらいとして計画していると言う。これが本来の製造業の姿かもしれない。
このパネルディスカッションの詳しい内容は追って整理して発表する。
吉川昭二氏の司会のもとに7氏が水なし両面刷りの実情を披露、デスカッションを重ねる