11月10日にSOPTECとうほく2021で、「水なし印刷とSDGs、働き方改革についての取り組み」をテーマにパネルディスカッションを開催した。
パネリストは、キング印刷株式会社(福島県)・代表取締役社長 伊東 邦彦 様、今野印刷株式会社(宮城県)・代表取締役社長 橋浦 隆一 様、精英堂印刷株式会社(山形県)・代表取締役社長 井上 吉昭 様、司会は、株式会社サンエー印刷・常務執行役員 吉川 昭二 様であった。
当日のパネルディスカッションの概要は以下の通りであり、詳細については後日、発信する予定。
キング印刷株式会社様より:
東日本大震災を契機に、15台の印刷機を廃棄し、新設5台の印刷機の全台でLED-UV印刷化に挑戦し、再出発した。3年以内の経験しかないオペレーターの「人の力」で、震災からのダメージを乗り越えられた。新たなことにチャレンジすることのひとつとして、水なLEDUV印刷に挑戦した 。水なしLEDUV印刷は当時まだまだ未成熟で問題点も多々あったが、かえってオペレーターが育つ要因になった。現在では、水あり印刷では30~40分必要となるのに対し、水なし印刷専用機では、印刷の準備時間が12分で終わり、生産性に差が出ている。全台がLED-UV印刷のおかげで、パウダーもなく、ゴミ一つ落ちていても気になるくらい清潔な工場となっている。
今野印刷株式会社様より:
113年の歴史を持つ会社で、この間、変わらないのは変わり続ける姿勢であり、サステナブル経営そのものである。水なし印刷は、両面8色機での見当精度向上による、作業効率の向上を目的に採用。水なし印刷のスキルレスの効果で、2年目の従業員が機長としての作業が可能になった。水なし印刷の採用は、工場環境の改善や働き方改革に通じ、生産性の向上も実現でき、湿し水関連作業がないため注意力も向上しミス・ロスが減少する。用紙の削減は環境負荷も軽減できることになる。
水なし印刷はこれらの点で、SDGsのゴール8(働きがいも経済成長も)やゴール9(産業と技術革新の基盤をつくろう)に貢献している。
精英堂印刷株式会社様より:
現在は創業から107年目を向かえている。北海道から九州までの日本酒のパッケージ・ラベル印刷を中心に業容を拡大してきたが、新規のテーマとして水なし印刷に挑戦。1999年に水なし専用印刷機を導入し、水なし印刷でパッケージ印刷を開始。パッケージ印刷は商品が陳列される場合も多く、印刷品質の安定が特に重要である。日本印刷産業連合会(日印産連)のGP環境大賞では、今年度から新設されたパッケージ部門で、水なし印刷を採用のクライアント2社が大賞を受賞した。また、シールラベル印刷においても、2年連続、7度目の最高賞(経済産業大臣賞)を受賞している。印刷は全て水なし印刷を採用し、洗浄でもVOCが発生しない3Wインキを使用している。
各社様より
水なし印刷を採用する際に注意すべき点は、そろって冬場の低温対策との答えがあり、
休日明けはメンテナンス日に割り当てたり、工場の暖気を早めたりと様々な対策が取られている。また、水なし印刷+LEDUV印刷は理想の印刷であるが、使いやすさ向上のために特色インキラインナップの充実化など更なる改良、開発を期待する声が寄せられた。