1.2018年10月に、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)は、「1.5℃特別報告書」を発表し、「地球温暖化を2℃ではなく、1.5℃に抑えれば、人間と生態系にとって明らかな利益となり、より持続可能な世界が確保できる可能性がある」と指摘した。
2.2015年のパリ協定では、地球温暖化を2℃未満に抑えるには、2050年に温室効果ガスを40~70%削減する必要があるとされている。日本は、2030年度に、2013年比26%削減の目標を掲げている。一方、EUは、2030年までに、1990年比40%削減の目標である。11月28には、「2050年まで気候中立を実現する」との新目標が提案された。気候中立とは、温暖化ガスの排出量を域内全体として実質ゼロにまで削減することを意味する。
3.非政府組織の地球温暖化防止活動である「We Mean Business(WMB)」が勢いを増している。WMBは温暖化防止を推進してる国際機関やシンクタンク、NGO等が構成機関となり運営しているプラットフォームで、世界の企業、投資家に加盟を促し、低炭素社の実現を目指している。加盟企業・投資家は712社で、株式時価総額は16.7兆US$(全世界の全成18~19%に相当)に達し、国内企業56社が加盟している。((株)ウェイストボックス社調査結果)
4.米国ではトランプ大統領の「パリ協定離脱」声明を受けて「We Are Still In(我々はパリ協定に残る)」の活動が拡大している。「We Are Still In」は「ワシントン(連邦政府)からのリーダーシップがないのであれば、米国経済の相当な規模を代表するわれわれ – 州・自治体・大学・企業・投資家 – が積極的な温室効果ガス削減の目標を追求していく。われわれはともに手をとり、アメリカが削減の世界的リーダーとして踏み止まれるよう、力強く行動していく」との基本理念により活動を開始し、現在では、参加者数が3608になり、1億5400万人(全米ほぼ50%)をカバーし、GDPで9.46兆US$(全米のほぼ50%)を占める状態にまで活動が広がっている。
次回は、これらの世界的な潮流に対する企業の具体的な活動を見ることにする。