6月8日の日本WPA第8期定期期総会に合わせて、精英堂印刷(株)(米沢市:井上吉昭社長)にて、世界は初の水溶性UVインキ(3Wインキ)によるVOCフリー印刷の実演・見学会が開催された。
(精英堂印刷:井上社長)
使用した水溶性UVインキ(3Wインキ)は、T&K TOKA製の「UV171TR」で、東レ(株)が開発した水溶性ポリマーを主原料として使用している。
一般に、フレキソ印刷やグラビヤ印刷において水性インキが、環境対応インキとして、知られているいるが、今回使用された水溶性インキは、全く異なった技術である。
水性インキは、原料にアルコール系のVOC発生原因となる化学物質が使用されているのに対して、水溶性インキは、インキ中にもVOC発生成分は含まれず、またVOCを発生しない水系洗浄液を使用することで、ローラー等の洗浄時にもVOCを発生しない究極の環境対応印刷、まさに夢の環境対応印刷である。
3W印刷実演風景(ハイデルベルグスピードマスターXL105-6)
実演はハイデルベルグ製の「スピードマスターXL105-6+LX」を使用し、白厚紙への4色印刷と、全面銀インキで印刷した用紙への4色印刷が行われた。着肉性や乾燥性など、通常のUVインキと同等の性能・作業性が確認できる実演であった。
特筆すべきは、3Wインキの環境性能である。印刷後のローラー洗浄では、VOCフリーの水系洗浄液では、洗浄時も洗浄前と同じ45pppm程度のVOC濃度を示したのに対し、通常の洗浄液を使用した洗浄では、一気に1000ppm~1200ppmまでVOC濃度が上昇した。
このVOCフリー印刷システムは、商印やパッケージ印刷に加えて軟包装印刷への採用を目標に技術開発をしているとのことであった。
3Wインキについては、IGAS2018でも、紹介される予定である。