水なし印刷の先駆者である東洋紙業株式会社(本社:大阪市浪速区、小川淳社長)の芦原工場で、油性印刷からUV印刷への趨勢の中で、水なしUV印刷の本格採用が始まった。
平成4年に一斉に導入し、25、26年も稼働したKOMORI製の水なし専用機の更新に伴いUV印刷に転換した。平成4年導入の機械の内、菊半裁機は、現在も順調に稼働している。新規に導入したKOMORI LITHRONE G40は、水なしH-UV印刷の種々のテストをクリアし、本格採用を開始した。開始して早々に、機長は自ら水棒設備を外したとのことで、水なしUV印刷の良さを如実に表している。
水なしH-UV印刷を採用の KOMORI LITHRONE G40
水なしUV印刷の利点について、中馬工場長、岩根課長は次のようにコメントしている。品質面では、ゴーストが抜群に改良され、水なし印刷らしいメリハリの利いた印刷物に仕上がるとのことである。
生産面では、印刷の立ち上がりが早くなること、印刷中の調量ローラーの清掃が必要なくなり効率化が図れること、何よりも湿し水の調整に神経をすり減らさなくなることを挙げている。また、印刷工場の方針としては、「印刷現場の意見を尊重し、誰もが楽しく仕事ができる」ことが第一であることを、中馬工場長の方針としている。水なしUV印刷もその一環である。
(左から中馬工場長、岩根課長)
水なしUV印刷に関して、光沢に問題があるとの意見も一部ではあるが、現状は、製品としての問題はないとのこと、またクライアントからは、水なしでの印刷を指定されることはあっても、拒まれることはないとのことであった。
ただ、東洋紙業は、関西の殆どの百貨店の包装紙を印刷してきた伝統があり、今でも包装紙の仕事が多い。包装紙は、基本的に特色が多いが、水なしUVインキの特色の品揃えが十分でない点が、大きな課題とのことであった。
最後に、KOMORI LITHRONE G40に装備されているインライン検査装置が、水なしUV印刷でも抜群の効果を発揮していること、また、インライン検査装置は必須の装備ともいえることを、強調しておきたい。